性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

イギリスでの住宅性能へのアプローチ

2013年07月19日 07時13分22秒 | Weblog



一昨日のイギリスロンドン在住の女性建築家・末武さんの講演スナップ。
国による違いが伝わってくる部分と
どんな国でも同じようなひとびとの反応があって面白い部分と
両方が感じられてたいへん勉強になりました。
イギリスというと、ほとんど木造はなく
ひたすら石造りの家のイメージがありましたが、
やはり木の家への思いというのが広がっているそうです。
イギリスでは、伝統的な石造りの家というのは、
ちょうど日本での土塗り壁の家に相当しているようです。
同じようなことはドイツでも起きていると聞いていますから、
ヨーロッパでは、炭酸ガスを封じ込める木の家への
憧憬が、エコロジー思想と共に盛んになって来ているように感じます。
ドイツの環境建築志向の方たちが日本から
「環境先進国ドイツ」というように紹介されることにとまどって、
「いや、わたしたちは、日本の大型木造建築のサスティナビリティへの
尊敬の気持ちからスタートしているのです」と
発言されるそうですが、
木造への思いという意味では、日本は世界からそのように見られていることを
把握しておく必要があるのだと思います。

写真は不鮮明なのですが、
(やっぱりiPhone写真では限界がありますね、反省)
1980年と2010年でのイギリス住宅の熱損失部位特性を表したもの。
部位毎に熱損失の割合を表現しています。
なるほど、このようなアプローチで
住宅性能をユーザーに啓蒙しているのかと理解出来ました。
こうした手法は、新住協での鎌田紀彦先生の講演でも目にする機会があり、
どこでも同じようなアプローチで、ユーザー説得にあたるのだなと
ほほえましく感じられました。
講演後、末武さんにポスト&ビーム工法は日本の在来工法と似ているから
日本の木造の高断熱高気密手法が有効なのではないかと
お話ししましたが、そもそも大工さん自体、
木造そのものになれていない中で、高断熱高気密住宅工法を伝える困難があるようです。
案の定、そういったプロ向けの「講習会」なども開かれていて
建築技術開発そのものも、同時並行的に取り組まなければならない。
まことに、北海道の経験知そのものが、
かなり遅れたプロセスで展開している様子がわかりました。
しかし、関東以南地域では、
こういった外国の状況と大同小異なワケで、
情報刺激としてはたいへん有効かも知れないと思いました。
また、同時に日本の高断熱高気密住宅技術は
海外でもニーズはありそうだという気がします。
「あたたかく伝統的な日本の木の家」というイメージは
かなりインターナショナルな訴求力を持っている可能性がある。
そんな妄想も抱きながら、講演を聴いていました。
コメント
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