三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

竹の家

2013年07月02日 05時24分12秒 | Weblog



沖縄では、あまりふんだんには木材は採取できない。
本土のように、高い山もないので、針葉樹が生育していない。
今回取材してみて、改めて沖縄のこういった特異性を思い知った。
冬という明確な季節区分がないので、
「年輪」が形成されず、
樹齢というものの価値尺度がないのだという。
そんなことから、建築材料には昔から、琉球石灰石を加工成形した
ブロックがよく使われたりしている。
沖縄本島でもこうした状況なので、
離島地域ではもっと木材資源が少ない。
そんなことから、それ以外の建築材料を使うことになる。

竹という素材は、
東アジアモンスーン気候地域に普遍的に存在するそうで、
おおむねイネの分布地域と重なるのだそうです。
ただし、北海道ではほぼ自生していることはない。
本州地域ではこれを使って壁の塗り壁下地を作りますが、
沖縄では、伝統的家屋でこのようにまったく建材そのものとして利用される。
まさに蒸暑地域らしい素材だと思います。
屋根には厚く断熱性の高い萱などを葺いて
その下は、希少な木材で構造を造作してから、
床壁天井を竹で編むように作っている。
屋根で太陽日射を出来るだけ遮り、
その下では、通風を最優先にして造作している。
実際にこのなかにたたずむと、外気温対比でマイナス3℃くらいの
涼感が感じられます。
たぶん、屋根の断熱が効いているのも大きい。
こういった住宅は何回か見ているのですが、
居住性はほんとうによく考えられているなぁと感じます。
仕掛けられた「自然温度差」が、空気の流動を促しているに違いなく、
室内では、床下地面からの気化熱による蒸散を感じます。
エスニックな住まいは、自然の摂理を謙虚に利用させていただいている感じが
たまらなく心地よいと思えます。
住宅性能、考えているのは、むしろ、伝統的な住まいであったりしますね。

コメント
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