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新幹線50年の技術史  曽根 悟  ブルーバックス

2014年10月23日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは、落雷抑制システムズの松本です。

開業以来、大きな事故もなく新幹線にはお世話になっていますが、この方式にたどり着くまでの検討事項、フランス/ドイツ/イタリアなどの世界の高速鉄道の比較からリニア中央新幹線までカバーし、乗りものファンとしては興味のある話ばかりで一気読みでした。 最近、新幹線を輸出すると言うニュースで耳にするパッケージ輸出。車両、線路、信号、運転管理から保守まで全て一体としたパッケージについては、世界の事情と日本の事情は異なり、日本の成功例は世界の中の特殊事情でしかないようです。高速鉄道の世界では350km/h が標準になった今、日本での成功に安住している間にガラパゴス化しているようです。それを一気にリニアでというのも飛躍しすぎのようで、インフラ作りの難しさがあります。

新型車両がいくら加速度を高めても、駅への進入速度は分岐器の制限速度を 70km/h として設計しまっているので、停車駅へのはるか手前から 70km/h に減速しなくてはならないチグハグなものになっていると言うのも、なるほど、新大阪からの帰り道、新横浜で降りる前、車掌さんのアナウンスから停車するまでの時間、かかりすぎと思っていましたが、そういう理由があったのでした。車両ばかり進歩させても線路の規格が50年前のままなのですから仕方ありません。

本書で少し物足りなかったのは、新幹線へ車両へ電力を供給する「き電方式」は、途中で変更されているハズですが、50年の技術史の中にそれについての記述がありません。 電車にとっては大事な要素ですからそれに付いての解説が欲しかった所です。

新幹線の強さでもあり海外に普及させるときの弱さでもあるのが、独立した専用軌道を走行する事です。踏切などありませんから安心して乗っていられますが、これは新線を作ると言う事で、莫大なコストを必要とし、既存のレールをそのまま利用したい国にとっては負担が重すぎます。米国は電車の踏切事故がある事を前提としていますから先頭車両は戦車の様な頑丈な作りになっていますし、ニューヨークの地下鉄さえ、地下鉄同士の追突がある事を前提にしていて、一編成の最前部と最後部のバンパーは、噛み合う構造になっています。 これは、追突して押された列車が線路から外に出されないための工夫だそうです。

人間は過ちを犯すので事故は防ぎきれないとして、衝突事故を前提とした列車の発想は現実に即していますが、衝突は起きないように設計した鉄道の方が利用者としては安心です。理想を追うか現実を認めるか。設計思想としての違いも面白いものがあります。世界でどう評価されようと、新幹線は大好きですし、日本の誇りである事に変わりはありません。次に新幹線に乗るのが楽しみになりました。

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