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名作・迷作のエンジン図鑑  鈴木 孝   グランプリ出版

2013年12月03日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは、落雷抑制システムズの松本です。

機械は物理的な動きがあって面白く、内燃機関の発達の歴史を知ると、人間の思考の幅の広さに驚きます。今はほぼ完成されてしまって、細かな違いしかありませんが、創世記には随分と豊かな発想で設計されたものが多く、現在の形は試行錯誤の結果、淘汰されたのでしょうが、昔の大胆な設計には驚かされます。何事も創世記の方が面白いものがあります。

エンジンは、その時代の技術の粋で作られますから、今から見れば何でその様な設計にするか理解しがたいことも当時としてはそうせざるを得なかった背景があり、これをジェームスワットの時代から解説しています。蒸気機関と言えば、ジェームスワットですが、実はこれは前身のニューコメンエンジンの改良機であり、全くの新作ではないのですが、その辺りの開設から、自動車、船舶、航空機、戦車、機関車などのエンジンを解説しています。

著者の鈴木さんが偉いのは、ご自身は日野自動車でエンジン開発をしてきたエンジニアさんですが、内燃機関の歴史に詳しい所がスゴイのです。今、自分のしている仕事について語る事は誰でもできますが、二百年も遡り、エンジンの発展の系譜に付いて語ることができるというのは、現在の仕事も過去からの延長として捉え、何故、そうなのかと言う理屈が発展の系譜の上からも説明できる事がスゴイ事です。エンジニアたるもの自分の専門分野の歴史家でもあるべきで、それを実践されている所に頭が下がります。毎日の仕事だけでも、沢山あり忙しいであろうに、昔の事まで知ろうとするとその努力は誰にでもできる事ではありません。

この本、興味深いエンジンの話が満載なのですが、その中で一つだけ紹介しますが、ドイツのSボートに使われたディーゼル・エンジンです。Uボートは余りに有名ですが、Sボートなる長距離を走れる魚雷艇も大西洋の荒波を超えて英国付近まで出かけて多くの英国船を沈めました。長距離を走れる燃費の良さと高速性を備えるドイツのエンジンを日本海軍の伊8号潜水艦で日本に運び、三菱に持ち込んで同じものを作ろうとしてみると、当時の日本の被術では作れないとのことで、再度、製造方法を勉強するために授業料として金塊1トンを手土産に日本からエンジニアを送りこんだが、その潜水艦はドイツに到達する前に撃沈されてしまいました。

魚雷艇といえば、ケネディ大統領も若かりし頃は米海軍の魚雷艇の艇長であり、日本海軍に沈めらています。日本海軍には魚雷艇がなかったのは、運用上の要求が低かったこともありますが、技術的にも小型/高出力/低燃費のエンジンが作れなかったという事情もあった様です。

日本では、博物館と聞けば御用済み、旧式、などネガティブな印象が強いのですが、業界の歴史を知ることは大事な事です。この本は読む博物館で、興味深いエンジンの歴史を色々と教えてくれます。

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