この映画、シェーン・ブラックだったのね。プレデターの続編というだけで見たけど、彼のエンドクレジットに合点がいって、思わず手を叩きそうになった。これまでのシリーズにはないオマージュとブラックユーモアのオンパレード。「ウーピー・ゴールドバーグ」って(確かに!笑)。監督のクセが濃ゆい続編となったが、これくらいイジってくれたら違和感を通り越して痛快だ。かといって、着地を大きく外すことはなく、プレデターvs人間のガチンコバトルはきちんと熱い。こういうプレデターも全然ありだ。
映画はパート2の続きの位置づけで、1997年、地球に襲来したプレデターが現代の地球に再び襲来するという話。パート2のストーリーを引き継いでいるような内容も含まれるため、復習をしておいたほうが良かったかも。パート2では市街地でプレデターが暴れ周ったので、その存在は織り込み住み。政府によってプレデターが地球に残した遺産は研究されており、プレデターに対する危機管理もなされている。「おお、きたか」という政府の反応だ。
しかし、案の定、プレデターの戦闘能力は想定の範囲を超えており、あっという間に人間たちを駆逐していく。破壊力あるビーム光線と切れ味鋭い刃で、「グシャグシャ」「スパスパ」と人体をいとも簡単に肉片にする。このスプラッター感が「プレデター」だ。今回のプレデターが地球にやってきた動機や、プレデターと戦うことになる人間チームのメンバー構成はひねりがあって、面白いとするか、余計とするか、シリーズファンの評価は分かれそうな気がする。自分は前者。
おそらくシリーズファンが求めているのは、パート1の原風景だろう。全盛期のマッチョなシュワちゃんが己の肉体1つで、強大な敵とタイマンを張る。ストーリーもシンプルで「バトルアクション」以外の表現は思いつかない。そして確かにパート1が1番面白い。パート1にキャストとして出演していたシェーン・ブラックは観客が求めるシリーズの魅力もわかっていたはずだ。それでも監督は、自身の作家性を信じて突っ走る。安いB級映画になり下がるリスクを負う。
負け組たちで構成される人間チームの笑いのかましあいは、笑えるユーモアも多分にあるが、だるいシーンのほうが多い。登場キャラが多い分、それぞれにスポットを当てるので散漫になりリズムが停滞するからだ。終盤のバトルでようやく各キャラクターを配置した真価が表れる。誰を殺そうがお構いなしの展開。人間の死を笑いに転換する不謹慎さ、シェーン・ブラック節が炸裂する。同時に主人公とトンプレイ君の親子愛をエネルギーに、プレデターにガチンコの戦いを挑む。笑いとスリルの波状攻撃が楽しい。
プレデターの番犬の扱いなど、ツッコミどころも多く粗さも目立つ内容だが、シリーズの醍醐味であるバトルアクションは非常によく練られていて、「プレデターを見た」という満足感に浸れた。
【65点】
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