久々に劇場で日本映画を見たので、久々に映画の感想をアップ。
傑作。良すぎてビックリした。
劇中、脳内で「スゴい」を連発する。
"タイムループ"は人生を教えてくれる。
広告代理店のその下に入る、孫請けの広告代理店が舞台。過度な仕事を顧客である代理店から強いられ、土日も徹夜でぶっ通し。その翌日の月曜日の朝から地獄の週末までの出来事が、永遠に繰り返されるという話。
ワンフロアの小さいオフィスで7名の社員で繰り広げられる物語は舞台劇を見ているような出だし。タイムループに気づいた社員が、他社員へと状況を理解させていく。そして、何が原因で何をすればこのループから抜け出せるか模索し奮闘する。緻密に整理された伏線を巻きこみながら、予定調和には収まらない怒涛の展開に流れていく。”社畜”の生き様の共感を孕み、可笑しくもスリリングで見事。
とまあ、ここまではタイムループをイジッた、出来の良いコメディの範囲(それもかなりの高レベルだが)。ところがどっこい、このタイムループを通じて描こうとする実像が明らかになるにつれ、感情は大いに揺さぶられる。気づけば頬がビショビショになってた。
本作で描くタイムループ。それが人生そのものとして映ってくる。特に社会人になってからだ。同じ時間に起きて、同じ職場に行き、同じような仕事を繰り返す。仕事が中心となった生活のルーティンから抜け出せないでいる。本作のタイムループのカギを握るのは、マキタスポーツが演じる部長の果たされなかった”夢”だ。その夢の正体である「漫画」の完成と、その物語を通して、人と人の繋がり、人生にとっての幸福の姿、その場所への道筋を照らしていく。予想だにしないストーリーテリングと、ドラマと漫画を交錯させシンクロさせる編集の美技により涙腺を刺激してくる。そして自問する。「良い人生だった」と私は振り返ることができるだろうか。
部長演じたマキタスポーツがひたすらに素晴らしい。醸し出す軽やかなユーモラスと、グッと掴まされる悲哀。彼の名演により本作がもう1つ上のステージにいった感じすらする。なんていい顔するのだろう。
本作に出会えた衝撃は久しく日本映画には感じられなかったもの。「カメラを止めるな」に似た読了感があるけれど、強い作家性と確たる完成度という点で大きく超えてくる。監督の竹林亮という人、恥ずかしながら初めて知ったが、これからもきっと凄い傑作を生み出すのだろう。本当に痺れた。
最後にパンフを購入したかったけど、作成してないとのこと、、、何でだ~
【90点】
映画は嗜好品なのでお約束はできないのですが、きっと面白いと思っていただける作品と思います!
早速行かねば〜