しとしとと降る雨に アジサイがかすかに匂ってくる
ほんとうは 匂いなど無いけれど
きっと 情緒がにほふのでしょう
しとしとと しとしとと、
絶間なく雨は降る、 ふりそそぐ、 にじむ、 曳く、 消ゆる、 滴(シタタ)る。
(…………中略…………)
しとしとと しとしとと、
絶間なく雨は降る、 ふりそそぐ。 葉から葉へ、しとと滴る。
ふりつづく長い長い憂鬱の単音律(モノトニー)、
その青い雨……黴くさい雨……投げやりの雨…
辛気くさい静かな雨、 かなしいやはらかな……生温(ナマヌ)るい計画(タクラミ)の雨。
雨……雨……雨……
(北原白秋 雨の気まぐれ) 抜粋
雨……雨………雨………・・・
明日はどんな雨になるでしょう
こちらは今日は涼しい好天に恵まれてスケッチに行きました。緑が爽やかでした。
白秋の詩、確かにkappore!がでてきます。おみごと!すばらしい記憶です。
長雨に閉じこめられて身も心も腐りそうな憂鬱さ。そんな風に暗く沈んでいる時に、何処か近くの家から聞こえてくるレコードの歌、気晴らしにもならず却って一層雨の日のやるせなさは募る。
とても長い詩ですね。 沖の暗いのに白帆が見える…なども ローマ字表記で入っています。
梅雨の雨を「こんなにしみじみと見つめて」 さまざまなイメージと音律の複雑な絡み合いで深めています。と(解説書を参考に)。
長い雨の詩を終わりまできちんと読んでみますね。ありがとうございます。
白秋の”雨の気まぐれ”は確か彼にしては辛気くさい詩だったように記憶します。”雨のふる日”も暗いけれど、もっと陰気で何かやけっぱちな思いが漂っていたような。ローマ字書きのkappore が出ていたのしか記憶にありません。こんなにしみじみと雨を見つめて歌っていたのですね。
手元に白秋の詩集が見つかりませんので間違っていたらごめんなさい。
雨の別所沼もいいですね。詩情で心も潤ってみずみずしく。
九州は梅雨入りしたというのに、予報は外れて良い天気続きで、音立てて伸びているのではと思える草木たちに水やりをパスできないでいます。