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入間航空祭~「スーパーマン募集中」

2012-11-22 | 自衛隊

                

航空祭が終わって駅に向かうとき、別の入り口から基地に入ったので行きは見なかった
この歓迎幕に気が付きました。
幕よりなにより、空中を横切る電線の数がものすごいなあ、と・・・。


今日も、航空祭を少し変わった視点からお送りします。




やはり入間基地の出口(わたしが出口にしただけで本来は入口ですが)に、
このようななんの変哲もないアパートのようなものがありました。
これは宿泊施設で、たとえば航空祭のとき外来機に乗ってくるパイロットが
臨時に宿泊するときにはここを使用するのだそうです。
自衛隊の施設ですからもちろん最低限の設備ですが、「寝るだけなら十分」なのだとか。
さらに、この屋上部分をズームしてみると・・・。



怪しい。
どう見ても普通のアパート屋上には無い装備が・・・。
さすがは空自基地、これも航空レーダーか? 



怪しいといえば、この滑走路向こうの物体も。

これは、航空機地上試運転用の消音機なのだそうです。
航空機の安全な飛行のために、整備作業の一環として地上でのエンジン試運転を行います。
この試運転をランナップというのですが、このランナップの時の騒音は非常に大きなもので、
基地周辺の近隣住民の皆様からのクレームが懸念されます。


一般論ですが、基地や飛行場というものは、当初は人気のない平地に作られるものです。
しかし、そのうち周りに人が集まり、町ができて居住区ができ始めます。

そして、後から住み着いた住民はおもに騒音問題で文句を言い出すのです。

文句を言うなら、当初だれも住んでいないから、安いから、とわざわざ基地周辺に土地を買った
親なり祖父なりを恨めばいいのに、と傍から見ていると思えるのですがそれはともかく。

そういう住民エゴをも軽やかにスルーするための、日本国自衛隊ならではのアンタイ・クレーム兵器、
これが、別名クレーマーキラー、CK型航空機消音装置。(本気にしないように)
確かめてはいませんが、おそらく川崎重工の製品でしょう。



大きくアップ。
この穴にT-4なりU-125なりのお尻を突っ込んでエンジン始動。
後ろに行くほど高くなっていますが、この部分は排気ダクト。
ただの筒ではなく、ダクトそのものが消音機能を果たし、
ダクトの上部から排気を逃がす仕組みとなっています。

川崎重工の開発したこの消音装置は基本的に屋内型なのだそうですが、
屋外型も同じ機能であろうと思われます。

それにしても、このことを調べていると、出てくる出てくる
「基地の爆音に対して即刻消音装置をつけろという市民団体の訴訟例」が・・・・・。

この消音機の消音装置新設のための入札についての資料もずいぶん見つかりましたが、
基地に対する訴訟と言い、この「消音ビジネス」といい、
実に、国土の狭い日本と日本社会ならではの航空基地事情、という気がします。



ところで、これ見てください。
我が海上自衛隊のヘリ、SH-60J。
この入間航空祭には陸自、海自からも航空機展示がありました。
メインが空自なのでデモはなく地上展示のみです。

陸自からはAH-1S,OH-1,OH-6D,UH-1。
海自からはP-3CとこのSH-60Jシードラゴンです。

外来機の帰投時間になり、各機が順番に移動していたのですが、
そのときすっかりエプロンの視線を独り占めしていたのがこの光景。

完璧に人力のみで移動させています。

「へええ、人の力で動くんだ~」

周りの人々が口々に言うようにわたしも驚きました。



押しているみなさんをアップ。
この緑の人たちは海自のクルーですよね?



小さい写真では見えませんでしたが、
大きくすると、操縦席にパイロットがいるのがわかります。
そこでふと疑問に思ったのですが、ヘリはタキシングできるのか?

答えは「できる」なんですね。知りませんでした。
見たことがなかったもので。
普通のスキッド(ソリのようなヘリの降着装置)だけのヘリはどう考えてもタキシングは無理です。
こういうヘリのタキシングは「ホバー・タキシング」「エアー・タキシング」と言って、
「エアギター」のように「タキシングしているふりして実は浮いている」ことを言うのですが、
このSH-60のように車輪を持つヘリは、ローターの推進力でタキシングが可能なのです。

ただーし。

ローターを回しながらタキシングすると、何しろローターというのが、
その回転でこの鉄の塊を空に飛ばしてしまうというくらいのものですから、
ダウンウォッシュと呼ばれる下向きの気流が生じ、その影響で
周りに駐機している軽量の飛行機などが浮き上がり、最悪の場合には車輪止めを越えて
転がってしまうおそれがあるのだそうです。

ヘリコプター基地のデモンストレーションなどで、
このSH-60が一斉にタキシングしている写真を見たことがありますが、
このようなデモ以外では、あまりヘリはタキシングさせないのではないか、と、
みなさんがこうやってみんなで一生懸命へりを押しているのを見て思いました。



走ってます。
皆で押すと結構速いスピードで移動するということですね。
黄色いバーを車輪にかけて進行方向に引っ張っていますね。
もしかしたら、ヘリって、こういう時操舵できない仕組み?

それから、赤と黄のミサイルみたいなものですが、これは
AN/ASQ-81 磁気探知装置(MAD)。
MADmagnetic anomaly detectorつまり「磁気の異常を探知する装置」です。

潜水艦とは強磁性の材料のカタマリなので、そこに潜水艦がいれば磁気の異常を生みます。
つまり、潜水艦探知装置なのです。

ちなみに、オライオンP-3Cのしっぽ、


棒状のものが突出していますがこれも磁気探知のためのMADブームです。
単なる飾りではありません。
「親の言葉となすびの花と軍用機の装置には万に一つの無駄もない」
ということわざもありますね。



このブルーの制服の整備隊員は、最初からこのSH-60の近くに立っていました。
かれらは入間基地のクルーでしょうか。
この写真に写っている全員がヘッドフォンをかけていますが、
通信用兼ノイズキャンセリング機能付きであると思われます。

消音機の存在にうかがえるように、飛行機の轟音をいかに消すかが基地の抱える大きな問題ですが、
この轟音の間近で日々職務に当たる人々もいるわけです。
昔は整備員などでも職業病で難聴になる人もけっこういたのではないか、とふと思いました。

 

ところで、このSH-60にはパイロットとともに「センサーマン」が搭乗します。
「SO」(センサーオペレータ)とも言われるこのセンサーマンの任務は、
搭載電子機器(レーダー、ソナー、ソノブイ受信、赤外線探知など)の操作が主任務で、
その他通信員も兼ねます。
航空学生出身のパイロットとは違う選抜をされた電子整備員がこの任務にあたるのですが、
それだけではなく、

航空写真の撮影(画像転送含む)、
救助用ホイストの操作、
有事には機関銃の射撃、
着艦拘束装置の操作、
空中消火に当たるときは消火装置の操作。

そもそも、海自の厳しい心理適性検査合格者の中から体力、聴力、水泳能力、
すべてに合格していなくてはなりません。
何しろこのセンサーマン、別名「スーパーマン」。
なにしろ、「海上自衛隊一多様な任務にあたる男」
それがセンサーマンなのです。

ウィキペディアによると、任務があまりに多様すぎて、「要員養成は困難である」・・・・・・・。

困難である、じゃないでしょー?
なんのためにこんなトライアスロンみたいな役職を作るかな海自も。
もしかしたら陸自の「空挺レンジャー」とかに対抗してる?
一人に何でもかんでもやらせずに、
あと二人乗員を増やして仕事を専門化させればいいんでない?

しかし・・・・・・・・・・

この任務に現役で当たっている隊員が現実にいるのなら、
どんな人か、ぜひ一目見てみたい!!!!

そう思っていろいろと画像検索したところ、ある航空隊の隊員紹介が出てきました。
海自のスーパーマン、意外と写真で覗う限りは普通の青年です。
いずれも大空を自由に駈けるヘリコプターに憧れ、この道に進んだことや、
仕事は大変だけど大変やりがいがある、などと熱く語っています。

なお、この航空隊に飛行士は二人配属されていますが、その二人が二人、
一番最後に、やはり熱く、このようなメッセージを残しています。

WANTED!!

自衛官はもちろんですが、入隊後に航空士になりたい人を募集しています。
航空士になるための教育、なってからの勤務は決して楽なものではありませんが、
非常にやりがいがあります。
特に、多種多様な任務により、刺激的で新鮮な毎日が過ごせます!!

海上自衛隊の航空士に、少しでも興味をもたれた方は是非、お問い合わせ下さい。

海上自衛隊の航空士に、少しでも興味をもたれた方は是非、お問い合わせ下さい。

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 (大事なことのようなので三回書いておきました)