かつてのひまな野球人の記

野球が好きだった医者が書きたいことを書き散らすブログ。今は保健センター教員をしつつ神経内科医と研究者もやっています。

陛下・殿下・閣下・猊下

2006年01月31日 21時54分57秒 | 雑談
全部敬称である。これらは全部「下」がついている。なぜでしょう。
他には「殿」なんていうのも敬称だが、これはもともと建物のことである。もともと、名前はその人そのものであるから、直に呼ぶのは失礼という考え方があった。肩書きで呼ぶのもそうだ。というわけで、その人を間接的に呼ぶことが敬称になったわけだ。だから、その人が住んでいる建物のことがその人自身の敬称になった。
だが、陛下・殿下・閣下・猊下はもう少し違う。なぜ「下」がつくか。陛は階段のこと。殿や閣は建物のこと。猊はそのままだと獅子の意味になるが、これは高僧の説法を獅子のほえている様にたとえたもので、つまりは座っているところのこと。こういうエライ人がたった一人で誰かに会うことはないし、膝つきあわせて話すわけでもないので、当然お取り次ぎの者がいる。つまり、下にいるお取り次ぎの方に申し上げます、というような意味が本来の意味である。
ちなみに、あなたが殿下と呼ばれていない場合、陛下や殿下にはまずなれないが閣下や猊下にならなれるかもしれない。閣下が一番なりやすいだろう。
そういうわけで、エライ人のみならず名前を直接呼ぶことは多少なりともその人の存在を侵害することになるのである。こういう習慣は欧米にはあまりないようで、親しくなるとファーストネームで呼び合うというのは、少し前ならびっくり仰天ものであろう。
ちょっと昔のことだが、雄略天皇が「名のらさね」と言っている。つまり、「名前を教えてちょうだい」ということなのだが、これはどういう意味だかわかりますか?