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タイの英字新聞のひとつ、ザ・ネーション(“THE NATION”)がインフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)の治療で私立病院が法外な請求を出したと報じています(August 15, 2009)。
インフルエンザAの治療で私立病院に入院し、亡くなった28歳男性の姉は総額300万バーツ(日本円でおよそ840万円)の支払いを余儀なくされたそうです。姉は、車と家を弟の命を守るために売却。しかし結果は、弟の命も家も車も失うことになりました。(The Medical Malpractice Victims' network yesterday said a private hospital in Bangkok charged Bt3 million for treatment of a patient with type-A (H1N1) influenza who later died, apparently due to delayed treatment. The network's chairperson, Preeyanant Lorsermwattana, said she recently received a complaint from an older sister of a 28 year-old-man who was infected with the new flu virus and later died. )
経過は次のようになります。弟は高熱を出すなどのインフルエンザの症状を呈したのでバンコクの南端のバンナー地区にある私立病院で診察を受けます。医者は注射をし、自宅療養をするよう告げます。翌日再び高熱を出したので、再診療を受けると近くの別の私立病院に移送されます。(She explained that the man had developed flulike symptoms, including a high fever, and was admitted at a private hospital in Bang Na district(“เขตบางนา”、Khet Bang Na). A doctor injected him with medicine and told him to stay at home. But a day later he had a high fever again and was rushed to the same hospital. The hospital transferred him to another private hospital nearby.
弟は2つめの病院に受け入れられ、数日入院しますが症状は改善されません。親族はバンコクの別の病院に転院させようとしますが、理由も告げずに拒否されます。(The patient was admitted to the second hospital for a few days but his symptoms did not improve. His relatives wanted to transfer him to another private hospital in Bangkok but the second hospital did not want to do that and did not give any reason for keeping him at the hospital. )
親族は患者の診断書を発行させ、よりよい治療を受けられる私立病院を探すために各病院に送ります。バンコクの最高級の病院にも送ったのですが、そこからの返事を受け取る前にスクンビット(“สุขุมวิท”、Sukhumvit)地域にある私立病院から受け入れの案内を受けます。(His relatives asked the second hospital to copy the man's medical records and send them to other private hospitals to seek for the better treatment. They say they sent the patient's medical record to a fivestar hospital in Bangkok but got a response from another private hospital, this one in the Sukhumvit area. )
スクンビット地域にある私立病院では4日入院しますが、男性の症状は深刻さを増し、親族はタイ国内最大最古の病院であるシリラート病院(“โรงพยาบาลศิริราช”、Siriraj Hospital)への転院を望みますが、間に合わず死に至ります。(They say the man was transferred to this hospital and admitted for four days but his symptoms developed into a severe condition. His relatives now wanted to transfer him to Siriraj Hospital.)
死亡した男性の姉はスクンビット地域にある私立病院の治療費だけで200万バーツを支払わなければならなかったそうです。200万バーツは日本円にしておよそ560万円です。タイの物価水準や給与水準からして、非常に高額です。4日の入院ですから単純計算して、1日140万円を請求されたことになります。(For the cost of medical treatment only at the private hospital in the Sukhumvit area, his sister had to pay Bt2 million. She had to sell cars and houses to gain money to save her younger brother' life. But he later died, without having been transferred to Siriraj.)
医療関係者は、次のように語ります。「私立病院での入院患者のインフルエンザ治療の通常の費用は、1日につき2万バーツ(5万6千円)で、集中治療室(ICU)への入院と人工呼吸器の使用のための費用は1日5万バーツ(14万円)かかる。」(Dr Tawatchai Vanichkorn, director of Kasemrad Prachachuen Hospital, told The Nation that the normal rate of influenza treatment for an inpatient at a private hospital was Bt20,000 a day while the cost for admission to an intensive care unit and use of a respirator was Bt50,000. )
これで計算すると、深刻な事態の場合、1日に20万円ほどの治療費が通常でもかかることになります。3日の入院で60万円です。回復までに時間がかかると、クレジットカード付帯保険の治療費用の限度額100万円(150万円、200万円、保険会社とカードの種類によって異なる)を容易に越えてしまいます。
私たちはカード付帯の海外旅行保険でこれまで旅行してきましたが、これからはこのリスクに備えて、例えば、損保ジャパンの「新・海外旅行保険【off!】」を契約していかなければならないのでしょうか。カード付帯の海外旅行保険では1度、私たちは治療費を支払わなければなりません。それから保険会社に保険金の請求をするのです。このような高額な治療費をたとえ立て替えであろうと一時的には銀行の口座に用意しなければなりません。
しかし、例えば、「off!(オフ)」の場合、病気やケガの治療費用(疾病治療・傷害治療)を「傷害または疾病による治療費用」とひとまとめにし、これのみを基本補償にして、他の補償はカード付帯の保険に任せると、アジア・オセアニア(グアム・サイパン)に旅行中は、「 シンガポールセンター」に電話をして、病院の予約や医師の手配を受けることになります。この手順を踏むとキャッシュレスで治療を受けられることになります。「病気のため医師の治療を受けられた場合に、治療費、入院費用等の現実に支出された金額で、 当会社が妥当と認めた額をお支払いします。」と説明にはあります。
海外旅行でのリスクを低減させるには、インフルエンザAのワクチンの接種が可能になる時期を待たねばならないのでしょうか。気軽に旅に出られない状況になってしまいました。
(この項 健人のパパ)
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