WHOが「世界におけるインフルエンザ流行状況」を報告していますが、2013年1月4日の最新の報告に気になる記述があります。アメリカではインフルエンザが原因と考えられる小児の死亡が2012年52週(12月26日~1月1日)には2例あったが、いずれもB型のインフルエンザに感染していたというのです。“Two influenza-associated pediatric deaths were reported (compared to eight in the previous report); both were associated with influenza B viruses.”
この時期に検出されたインフルエンザウイルスの大半はA(H3N2)であったそうですが、インフルエンザ陽性検体2961のうち、79%はA型のインフルエンザであり、21%がB型インフルエンザだったようです。“In the USA, the majority of influenza viruses detected were A(H3N2), however influenza B accounted for a larger proportion than in Canada. Of the 2961 influenza positive specimens in the last week of 2012, 79% were influenza A and 21% were influenza B. ” 5人に1人はB型のインフルエンザに感染していたということになります。
B型のインフルエンザウイルスのサブタイプを決定したところ、115検体のうち、3価のインフルエンザワクチンに採用した「山形系統」のB/Wisconsin/1/2010の類似株が69%であり、残りの31%が「ビクトリア系統」であったようです。“Of the 115 influenza B viruses characterized 69% were B/Wisconsin/1/2010-like of the Yamagata lineage, the B virus component of this seasons trivalent influenza vaccine, and 31% were of the Victoria lineage.” B型のインフルエンザに感染すると、その30%ほどがインフルエンザワクチンに採用されなかったビクトリア系統ということになります。ビクトリア系統は、0~4歳、60~70歳群において、抗体保有率が低いことから、この年齢群に属する人はインフルエンザ感染に特に注意する必要がありそうです。
2012~2013年シーズンのインフルエンザウイルスからは、いまのところ、耐性ウイルスが発見されていないといいます。“Since 1 October, none of the 526 A(H3N2), 39 A(H1N1)pdm09, or 226 B viruses have been resistant to neuraminidase inhibitors.” 発症しても、症状を緩和させるのに有効な薬剤があり、その効き目が現在のところ損なわれていないというのは安心といえます。
インフルエンザワクチンを検索していて、先生のブログにたどりつきました。
先生に教えていただきたいのですが・・・インフルエンザワクチンにおける抗原性変異なんですが、2管差というのは、ワクチンの効果が無いということでしょうか?
つまり、ワクチンを打っても予防効果が期待できない、ということでしょうか?
大阪府感染症情報センターに先日までの抗原性変異の解析結果が掲載されていまして・・・今シーズンもワクチン外れたのか?と疑問に思ってたもので。