カルテット! 人生のオペラハウス(原題: QUARTET)
2012年 イギリス
監督:ダスティン・ホフマン
製作:フィノラ・ドワイヤー、スチュワート・マッキノン
原作・脚本:ロナルド・ハーウッドキャスト
撮影:ジョン・デ・ボーマン
出演:マギー・スミス、トム・コートネイ、ビリー・コノリー、ポーリーン・コリンズ、マイケル・ガンボン
ダスティン・ホフマンの初監督作品!!
わたしは勝手に、ダスティン・ホフマンは、もっと早く監督をするんだと思ってました。
が、満を持して70歳での監督デビュー。インタビューを読むと、「これが撮りたいから」って感じではなく、
役がまわってきたから・・というスタンスですね。
しかし、この悲哀を含んだシニアクラスの物語の、全編に流れ続けるユーモアは、彼の持ち味ならでは!と思ってます。
年老いた音楽家たちが一線を退き、老人ホームで余生を過ごす「ビーチャム・ハウス」。
そこに、新たな仲間が入居してくることになりました。
彼女は、かつての名オペラ歌手ジーン。
一度はレジーの妻であり、シシー、ウィルフとともにカルテットを組んでいました。
このジーンと、レジーの再会が、まず見物です。
老年男女とは思えない、慌てぶり。純情ぶり・・・。恋は、いくつになっても、だよなあ。
断固拒否するジーンに、コンサートで往年の名カルテットを再び組み、一緒に唄うよう説得するシシー。
老人ホーム存続の資金集めでもある、コンサートに向けて、物語は進んでいきます。
若き日の栄光を抱き続け、あの頃のように唄えないから・・・と葛藤し続けるジーン。
円熟味を増した、名優たちの表情からは、いろんな意思が読み取れ、いちいち想像が膨らんでおもしろいです。
ホームに遊びにくる孫たちや、若い庭師たちの初々しい表情もいい。その対比に目を奪われます。
さらに、カルテットメンバー以外に脇を固める老人ホームの入居者たちは、実際に近代音楽を牽引してきた名演奏家たち。
さすが、舞台映えします!! こんな手があったのか。
ジーンが熟年の壁を乗り越えていったように、ダスティン・ホフマンも、この初監督作を受けたのは
気持ちの上で超えていったものがあったのでしょうか。深読みしすぎかもしれませんが・・・。
ぜひ次の監督作もあることを祈ります。