Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

スティーブ・ジョブズ

2013年11月21日 | 2010年代 米

スティーブ・ジョブズ(原題:Jobs)

2013年 アメリカ
監督:ジョシュア・マイケル・スターン
製作:マーク・ヒューム
製作総指揮:ジェイコブ・ペチェニク
脚本:マット・ホワイトレイ
出演:アシュトン・カッチャー、ジョシュ・ギャッド、アーナ・オライリー、ダーモット・マローニー、マシュー・モディーン、
J・K・シモンズ、ルーカス・ハース


アップル創業者であり、元CEO・スティーブ・ジョブズの伝記を映画した作品・・・だと思っていた。
が、半生記というよりは、アップルの創立~解任と復帰までを描いた「アップルでの仕事」をメインにしたもの。
子供時代や、晩年の病気、ピクサーなどについても触れられていない。
原題をみると「Jobs」! あー、見終わってから気づいたよ。そりゃあ仕事メインの映画ですなあ。

独善的で我がままを貫くジョブズが、人を蹴散らし、莫大な費用をかけて信念を貫き通し、
それでいて多くの人が魅了させられ、アップルという理想郷が創りあげられる。

一筋縄ではいかないスティーブ・ジョブズの遍歴をラブコメの印象が強いアシュトン・カッチャーが
演じるなんて、どうかなあと思ってたけど、なんのなんの。見事に予想を裏切ってくれてる。
「スティーブ・ジョブズ」をしっかり作り込んできてるのはもちろんのこと、
シーンや時代によっても変わる顔色や表情に惹きつけられる。語りにも力がある。
(もともとの華があってこそだけど)カリスマ性さえも演じられるんだなと思った。

デザイナーのジョナサン・アイブを演じていたジャイルズ・マッシーも良かった。
彼はドラマシリーズとか舞台が殆どで、映画はあんまり出てないのかな。

夢をみるのは、美しいことばかりじゃない。
妥協をしないことは、他の人にとってはむしろ醜いことの方が多いかもしれない。
それが何だ!?っていう傲慢さが、新しい世界を創った好例。


ロックンロール・ハイスクール

2013年11月13日 | ロック映画、映像

ロックンロール・ハイスクール(原題:ROCK'N ROLL HIGH SCHOOL)

1979年 アメリカ
監督:アラン・アーカッシュ
製作:マイケル・フィネル
製作総指揮:ロジャー・コーマン
脚本:ジョセフ・マクブライド
出演:P・J・ソールズ、ヴィンセント・ヴァン・パタン、メアリー・ウォロノフ、ポール・バーテル
クリント・ハワード、ディック・ミラー、デイ・ヤング、
&ラモーンズ!

ラモーンズ好きにはたまらない、爆裂ライブ映像も入った学園コメディ。
はじめっからスタンディングでノリノリで観ても楽しいかも!!

ラモーンズの大ファンの女子高生と、ロックを諸悪の根源とする女校長が学園中を巻き込んで
上へ下へと大騒ぎ。
ま、女子高生・・・というか、この時すでに27~28歳のP・J・ソールズ。
年齢は、はじけんばかりの笑顔でぶっ飛ばしてます☆
ラモーンズが最高!ラモーンズがすべて!!っていうのをバッチリ体現。

そんな彼女に答えて、ラモーンズのメンバーも学園にも乗り込み、大活躍します。
学生闘争としては過激な場面もありますが、B級映画としてはアリ。
コネタもたっぷり挟んでいて面白いです。
わたしとしては、女校長の手先の2人組小太りのおっちゃん達がヘンデルとグレーテルという
名前だということがグッジョブでした♪

ムード・インディゴ ~うたかたの日々~

2013年11月01日 | 2010年代 欧州


ムード・インディゴ ~うたかたの日々~(原題:L'Écume des jour)


2013年 フランス
監督:ミシェル・ゴンドリー
製作:リュック・ボッシ
製作総指揮:ザヴィエ・カスターニョ
脚本:リュック・ボッシ
出演:ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、オマール・シー、ガッド・エルマレ、アイッサ・メガ、シャルロット・ルボン


1946年に発表されたボリス・ビアンのベストセラー青春小説「うたかたの日々(日々の泡)」の映画化。

働かなくてもよいほどの財産があり、自由気ままに生きるコランの生活は、奇想天外そのもの。
弁護士であり、料理人から執事、ダンスの手ほどきまでしてくれるニコラは、テレビに映るコックの指示を受けながら
今日も、いたるところの蛇口から現れてはもぐりこむ食材のウナギと格闘している。
挨拶のできるハツカネズミは家庭菜園を持っていて野菜をカゴに乗せて渡してくれたり、細々とした用事もきいてくれる。

コランは友人達のバックアップもあって、パーティで出会ったクロエと付き合うことに成功。
2人のデートは、これまたファンタジック!
楽しすぎる毎日が描かれるのだけど、そんな中でも友人のシックは哲学者ジョン=ソル・バルトルへの
自分を失うほどの傾倒を深めていき、暗い影を落としていく。

コランとクロエは幸せいっぱいに結婚するが、クロエは肺にスイレンが咲くという奇病に侵されてしまう。
コランは愛する妻のためにすべての時間と財産を治療に費やす。

前半が軽やかでドリーミンなタッチで進行していくのに対して、後半のやるせなさが、ズシンときた。
いつかは、つけを払わせられるんだなあ。

妻の治療費を稼ぐため、今まで働いたことのなかったコランがやっとありついた仕事が
銃身がまっすぐに育つように、銃を埋め込んだ土の上に素っ裸で腹這いになり、
延々温めているという、きっつい作業。気ままに生きてきたお坊ちゃんがね・・。

泡のように消えていく幸福。
どんよりと沈むやるせなさと、甘い日々への果てしない憧憬が残る。