Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック

2015年07月04日 | ロック映画、映像

COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック (Cobain – Montage of Heck)

2015年   イギリス
監督・脚本・製作:ブレット・モーゲン
製作総指揮:フランシス・ビーン・コバーン

 90年代を代表するロックアイコンであり、ロック史に革命をあたえ、
「It's better to burn out than to fade away(錆びつくより今燃え尽きる方がいい)」と
拳銃自殺をした“Nirvana”のカート・コバーン。ドキュメンタリーの名手ブレット・モーゲン
監督が、遺された日記やアート作品、幼少の頃のホームビデオ・写真、未発表楽曲にプライベ
ートな未公開映像など膨大な資料をもとに、カート・コバーンの素顔に迫る。


 小さい頃のカートがたまらなくキュート!! 何これ、連れ去りたい。 

 金髪碧眼、やんちゃで、いつもニコニコ笑顔をふりまきーああ、もう鼻血が止まりませんー、
周りのことを気づかう優しい子だったという。しかし、ほのぼの映像満載で綴られる幼児期とは
打って変わり、両親の離婚によりショックを受け、落ち着きがなく扱いづらい子どもと見なされ
るように。その頃の様子をどこか淡々と語るカートの母親、父親、義母、妹・・・。家族親類の
間を泊まり歩き、どこにも居つくことができなかったカート。ドラッグにはまって憂さを晴らし、
頭の中に次から次に浮かぶイメージやアイデアをノートに書き連ねる日々。

 友人クリス・ノヴォゼリックと出会い、はじめたバンド“Nirvana”のメジャー1作目「ネヴァー
マインド」は大成功を収め、全世界で注目を浴びる存在となった。一気に生活が変わり、
メディアが打ち出す虚像やメジャー市場に戸惑うカートたち。
 
 ここで臨場感あふれるライブ映像が続き、しっかりとNirvanaの世界に引き込んでくれる。
 インタビューでは言葉を選ぶあまり、詰まって下を向きがちなカートに対し、「音楽っていう
のは個人的な体験なんだよ」と既にマスコミやファンとの距離感をつかんでいるデイブ・
グロールが興味深い。

 そして、ロックバンド“Hole”のギターボーカルであり、当時からゴシップクィーンだった
コートニー・ラヴとの熱愛、結婚。カメラを気にする様子もなく、家庭生活の中で撮られた
映像には、くつろいだ表情で愛を語る二人の姿が満載されている。赤ちゃんが産まれてからは、
臆面なく子煩悩な父親っぷりを見せるカート。家族に向けるその笑顔は、幼い頃のカートの
天使的なニコニコ顔と同じ。とてもとても幸せな気持ちになる。ただ、ヘロイン漬けのまま
出産をしたコートニーは世間から相当のバッシングを受け、親権をめぐっての裁判も。

 悪女の評判名高いコートニー・ラヴのインタビューはブレてなくていいよなあ。飾らなくて、
素直な人だと思う。

 インタビューをごく身近な人だけに絞り、プライベート映像をたっぷりと使用した、この映画は
今まで知らなかったカート・コバーンの実像を見せつけるものだろう。死して尚、時代のヒーローに
祭り上げられた彼の素顔に肉薄するドキュメンタリー決定版☆ってゆーのは、間違いないけれど、、、
けどさあ一方で、わかられてたまるかよ!! とも思う。
 
 親がそうだったから、とか、妻がこうだから、とか、マスコミのせい、とか理詰めすんな! 
 万人が納得できるための理由なんて欲しくない。そんな怒りがもうもうと湧いてくるのは、やはり、
わたしの中にもカート・コバーンがいるからなんだろうな、と思う。

   

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