Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

わたしを離さないで

2016年09月02日 | 2010年代 欧州
わたしを離さないで(原題:NEVER LET ME GO)

イギリス=アメリカ 2010年
監督:マーク・ロマネク
製作:アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ
製作総指揮:アレックス・ガーランド、カズオ・イシグロ、テッサ・ロス
脚本:アレックス・ガーランド
出演:キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ
音楽:レイチェル・ポートマン
撮影:アダム・キンメル
編集:バーニー・ピリング

カズオ・イシグロによる同名小説の映画化。
今年放送された同原作のTBS系テレビドラマがあまりに泥々としていたため、それを踏まえて観ると、非常に淡白な印象。

閉鎖的な施設「ヘールシャム」で幼い頃から育ったキャシー、ルース、トミーの3人は、18歳になると学校を出て、同じような施設で育てられた人たちと農場のコテージで共同生活を送ることとなる。
彼女たちは「提供者」となるまで自由な生活を送り、「提供者」の世話をする「介護人」の役割を担っても良いとされている。そして「提供者」は3〜4回の提供後、短い人生を終える。
だが3人は、コテージの先輩からヘールシャムで育った子どもたちには執行猶予が設けられているという噂を耳にする。

といった複雑なストーリーにも関わらず、説明は最小限に留められている。
ショッキングな展開が日常の当たり前の出来事のように進んで行く語り口は原作に近いんじゃないかと思う。ボーッとしていると彼らの当たり前ではない深い悲しみを見逃してしまう。

ルースとトミーが短い人生をかけて、たとえ自分の感情や恋心とは離れようとも、定められた運命に抵抗したいんだという強い意志は痛いほど伝わったし、それらを全て見守りながら受け入れていくキャシー役キャリー・マリガンの諦めを含んだ笑顔が春の日差しのようにどこまでも穏やかで、惹きつけられた。


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