Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

唇を閉ざせ

2013年02月21日 | 2000年代 欧州

唇を閉ざせ(原題:Ne le dis à personne)

2006年 フランス
監督:ギヨーム・カネ
出演:フランソワ・クリュゼ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンドレ・デュソリエ、クリスティン・スコット・トーマス、
フランソワ・ベルレアン、ナタリー・バイ、 ジル・ルルーシュ

8年前、何者かに妻を殺されたアレックス。
犯人はつかまらず、結局、一番疑われたのは夫である彼だった。
もちろん自分が彼女を傷つけるはずがない。
今でもずっと、妻を思い続けている・・・。
うう~、切ない。切なすぎるミステリーだ。
でも現実的にもあるんだろうな、こういうこと。どんなに、辛いだろう。

そんなある日、アレックスは、亡くなった妻と関係があると思われるメールを受信する。
もしかしたら、もしかすると、彼女は生きているのかも!!
藁をも掴む思いで情報にすがりつくアレックスに、なにやら彼を追いかけている謎のグループ。
更にアレックスは、妻の親友を殺した容疑者に仕立てられ、警察にも追われることになる。

気持ちをぐるんぐるんに揺さぶられる。上下左右に。
重ねて殺人容疑を突きつけられるアレックスを逃がうとする黒人たちや、彼を追い立てるグループの面々は
なかなかに個性的で、良い。
逃走劇の派手さはないものの、幹線道路を猛スピードで走っている車を徒歩で擦り抜けていくシーンなんかは
リアルティに満ちててハラハラし通しだった。
はたして事件の真相は・・・?! 妻は生きているのか?!

ラストは、完全なるハッピーエンドかは言えないかも・・・。
なんていうか、せち辛かった。

カウボーイ映画と似て非なるもの

2013年02月16日 | フランス映画祭

オンラインで開催中のフランス映画祭『マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル』にて
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/
12分のショートフィルムを観ました。

e n'est pas un film de cow-boys
(カウボーイ映画と似て非なるもの)

2011年 フランス
監督 : Benjamin Parent
出演: Finnegan Oldfield, Malivaï Yakou, Leïla Choukri, Garance Marillier

カウボーイ映画っぽい、オカマ映画がテレビで放送された翌日、
学校のトイレで、ヴァンソンは同級生のモサにそのオカマ映画のストーリーを熱く語りだす。
隣の女子トイレでは、同じ映画を見たジェシカが、ナディアのホモの父親について
質問攻めにしていた・・・。


タイトルにしても、設定にしても、コメディだろうな~と思ってたのですが
思春期の一場面を切り取っていて、短編小説のようで良かったです。

会話の合間合間にみせる、少年少女たちの表情がいいです。


思い出の船乗り

2013年02月13日 | フランス映画祭
オンラインのフランス映画祭『マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル』にて
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/
今回は、短編フィルムをチョイス。

35分の小作品です。

Le Marin masqué(思い出の船乗り)

2011年 フランス
監督 ・脚本: Sophie Letourneur
出演:Laetitia Goffi, Sophie Letourneur, Johan Libéreau

仲の良い女性2人 ーレティシアとソフィー が、レティシアの故郷を尋ねてドライブする。
車内で繰り広げられる、たわいない会話。家族のこと、クレープのこと、いつかの恋のこと・・・。
延々と続くガールズトーク。
女子は、どこの国も変わらないなぁ、と思う。
まんまじゃん、と。

ソフィーの監督・出演である本作だけれども、狙いなく、ただただ撮っているのだとしたら、すごい。
リアルな女子像を録るには、良い手法だと思います。
どうしても「映画」だと、着飾っている女性像だから。
気のおけない友達と話しているときが、一番本当の姿なのかも、しれません。

早朝に(DE BON MATIN )

2013年02月05日 | フランス映画祭
オンラインで開催中のフランス映画祭『マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル』にて
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/
日本未公開フィルムを観賞♪


DE BON MATIN(早朝に)
2011年 フランス
監督 : Jean-Marc Moutout
俳優 : Jean-Pierre Darroussin, Valérie Dréville, Xavier Beauvois, Yannick Renier, Laurent Delbecque

月曜の早朝。
ポールは歯をみがき、スーツに着替え、静かに身支度を整えて
いつものように勤め先の銀行に向かう。
会議室にいくと、スッと迷い無く鞄から取り出したのは、拳銃。
(えっー!! いきなり?!)←こころの声。

上司を見るやいなや、すぐさま引き金をひく。撃つ。撃つ。撃つ。
(えええっっーーー!!)

いやあ、雰囲気からして、自殺するんだろうな・・・と。
どうなってんの。ひどいよ。
なぜ彼がこの凶行に及んだのか。
彼の仕事を通して感じて来たこと、上司や同僚との会話や、妻や息子との関係が綴られていく。

これがもし、日本で同じ設定で作品をつくったとしたら、
まさに、はまり役と思えるような俳優さんが起用されて
社会の軋轢によって彼が歪められていく様子を、1コマずつ1表情ずつに
観客の得心のいくような演技をみせてくれるような気がする。

しかし、本作では、過去は淡々と綴られ、薄っぺらだ。
現在と過去が交差して、区別がつかなくなる。
それが空々しくって、心の闇にはいりこんでいくような怖さがあった。