Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

太陽はひとりぼっち

2012年10月29日 | 1960年代 欧州

太陽はひとりぼっち(原題:L' ECLISSE)

1962年 イタリア=フランス
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:アラン・ドロン、モニカ・ヴィッティ、フランシスコ・ラバル、リッラ・ブリグノン

ヴィットリアは、長年つきあっていた恋人と別れた。
彼女は、素人投資家の母を証券取引所へと訪ねたが、母は相場に夢中で話を聞いてもくれなかった。
空しさを抱えたまま友達のアパートでふざけたり、セスナでローマの上空を飛んだりして、過ごす日々。

アフリカのイメージと音楽で、踊り狂うシーンがいい。
「彼らは幸福を追求せず、自然のままに生きてるんでしょ?」
「ここでは物事すべてが複雑だわ、愛でさえも」というヴィットリア。
確かに、幸福を希求しすぎるから、複雑になってしまうかもしれない。

母に会いに再び取引所へ行くと、株の大暴落がはじまっていた。
借金を負った母を心配して、仲買人のピエロに相談したヴィットリア。
ピエロは、彼女に興味をもち、接近していく。

このピエロは落ち着きが無く、カフェの女の子のお尻を触るわ、電話でも怒鳴りちらすわ
恋人が実は金髪ではなく染めていただけで別れるというようなゲスな男で、
でも、アラン・ドロンなんですよね~。
一見スマートにみえる、けど・・・思いやりはない感じで、ヴィットリアが躊躇するのもわかります。

愛の不毛を知りながらも、また恋に落ちていくヴィットリア。
ふいに現実に立ち返りながら。

ステキな金縛り

2012年10月13日 | 2010年代 邦

ステキな金縛り

2011年 日本
監督・脚本:三谷幸喜
出演:深津絵里、西田敏行、阿部寛、竹内結子、中井貴一、小日向文世

三谷幸喜の5作目の映画監督作品。
あれ、まだ5作目?と思ってしまうけど、1作品1作品の内容がいろんな意味で濃いし
舞台作品も多くて多作のイメージが強いからかな。
今回は、事件の晩、容疑者に金縛りをかけていたという落ち武者の幽霊をズッコケ女性弁護士が
殺人事件の証人として呼び出すという、奇想天外な法廷コメディ。

落ち武者演じる西田敏行は、「西田敏行」キャラを前提としての落ち武者。
深津絵里はこの映画の中でのキャラクターなのだけど、検察官役の中井貴一は「中井貴一」キャラ、
上司役の阿部寛は「阿部寛」キャラを含んでる感じ。
このデフォルメ感がたまらない。
観客が勝手にもってる役者に対するイメージを、勝手に利用しての、作品づくりですよね。うまいなあ。

落ち武者の幽霊は、見える人・見えない人がいるので、これをどう信じてもらえるのかというところから
始まって、七転八倒のドタバタ劇。
あの世とこの世をいったりきたり。そして、最後には怒濤の心理戦も交えた法廷劇に。
法廷ものだったら、この場面がなきゃあ!!って、ツボもしっかり押さえてあるので大満足でした。

ただタイトルどおり、金縛りがステキなものであったかどうかは・・・どうだろうか。

パフォーマンス

2012年10月06日 | 1970年代 欧州

パフォーマンス/青春の罠(原題:PERFORMANCE)


1970年 イギリス
監督:ドナルド・キャメル、ニコラス・ローグ
出演:ジェームズ・フォックス、ミック・ジャガー、アニタ・パレンバーグ、ミシェル・ブレトン


ギャングのチャスは、ボスの命令に背き、仲間を射殺した。
組織に追われるようになったチャスは、ターナーという男が地下室を又貸ししようと
している話を聞きつけ、そこに潜伏することに。
ターナーは、引退したロックスターで、ふたりの恋人と快楽に溺れる生活を送っていた。
チャスは次第に彼らの世界へと入り込んでいく・・・。

ミック・ジャガー初出演作の映画。
これはDVDにて鑑賞したけど、本編より先に解説を見た方がよかったかも。
1960年代後半の「スウィンギング・ロンドン」と呼ばれ、世界中に広がった若者文化の
震源地だったロンドンの世界観を表現している、と評価されており、
時代背景も加味して観ると、更に魅力が増す映画かもしれません。

前半のギャングシーンが長く、元ロックスター役のミック・ジャガーが出てきてから、
ガラッとお話が変わってしまうのでアンバランスな感じが否めないのだけど、
何人もの監督や編集者が切り貼りしていて、ストーリーやシーンがごっちゃなのは
しょうがないみたい。

ミックの恋人役を演じるアニタ・パレンバーグは、
ブライアン・ジョーンズの元恋人であり、更にキース・リチャーズの現(撮影当時)恋人でもあり
キースに「この映画に出ないなら金を払う」とも言われたとか。
そして、ミック・ジャガー自身は、引退したロックスターを演じるにあたり
ブライアン・ジョーンズとキース・リチャーズのキャラクターをまねたとか、何とか。

演技うんぬんはともかく、やっぱりミック・ジャガーの圧倒的な存在感はすごすぎる!!
画面に1度出て来たら、もう片時も目が離せないです。

1968年に製作され、公開が決まるまで2年もかかったという本作。
60年代の熱を感じられる貴重なフィルムでした。