Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

Coup de chaud (熱風)

2016年02月13日 | フランス映画祭

 1ヶ月の間、最新フランス映画がオンラインで観られる「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2016」
 http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/
 いよいよ最後の週末を迎えました。

 コンペティション部門長編「Coup de chaud(熱風)」を鑑賞。
 
 乾いた熱い風が山畑をぐずりとなでていく。日照り続きで、野は荒れ、人も家畜も暑さに悩まされている。
 狭い村でつのるイライラは、村の厄介者ジョゼフへと向かう。ジョゼフは少し知恵遅れのところがあり、
人の話を聞かず、人の物をなんでもかんでも持ってきてしまう。家畜の群れに車で突っ込んでも気にもせず
常に大音量の音楽をかけ、目にうつる人々にちょっかいをかけてまわる。

 村の人々にいくら厳しく言われても、ジョゼフの父と母は彼をなだめ、甘やかすだけ。
 誰も彼も、無知なんだと思う。
 知恵遅れの子になんて、声をかけたらいいか、言葉足らずだという場面が何度もある。

 誰かの苛立ちは誰かを苛立たせ、彼を彼女をジョゼフをもエスカレートさせていく。
 だからといって、彼を殺してなんになろう。
 受け皿のない、やるせなさが残った。

La Fin du dragon (ドラゴンの最期)

2016年02月10日 | フランス映画祭

 最新フランス映画オンラインまつり
 http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/
 マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2016にて、短編「La Fin du dragon(ドラゴンの最期)」鑑賞。


 脳死状態の母の延命装置を外すことになり、最期のときは10日後と決まった。
 マリアンヌ、マイク、アンジェルの三姉弟妹は、ホスピタルで母の死期を見守ることに。

 姉のマリアンヌは10日もかかることに不満を隠せないで、仕事を気楽に休める人はいいとマイクに当たり散らす。
 とまどうマリアンヌの姿を窓からそっと見守るアンジェルは、「姉は母を許そうとしています」と傍にいる医師に静かに告げる。

 マリアンヌと亡くなっていく母が、どんなに壮絶な母娘バトルを繰り広げてきたか、想像に難くない。
 扉越しに見つめるだけで、病床にも寄れないなんて。「ドラゴンの最期」などとタイトルをつけねばならないなんて。
  
 施設の医師の寄り添い具合が良かった。あのマリアンヌが安心して話しているのが伝わる。
 そして、犬も。
 あからさまに邪険にされてもマリアンヌを気遣い、そっと寄り添う。
 これは犬が助演賞だよと思って、勝手に救われた気分になる。
 

Un peu, beaucoup, aveuglement(ブラインド・デート)

2016年02月05日 | フランス映画祭
 マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2016でお楽しみ中!
 http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/
 ワクワクしながら毎夜、最新フランス映画をむさぼっています。

 さて、コンペティション部門長編「Un peu, beaucoup, aveuglement(ブラインド・デート)」を観ました。

 静かな環境で熟考したいゲーム開発マニアと、練習したくてたまらないコンテストを控えたピアニストが、建築ミスの筒抜けの壁を隔ててアパートのお隣さん同士。お互いの生活音にもイライラして「音をたててもいい」当番制まで決めたのが、いつしか惹かれ合っていくという、なんとも不思議なお話。しかも、2人はこのまま会わないままで恋人になるという約束も! 

 SNSを介して見ず知らずの人と友達のようにメッセージを送り合うのが当たり前の世の中だけど、インターネットのイの字もでてこない2人の時代おくれな生活をみていると、2人ともズレてていいなあ、とほほえましくなる。

 特にメラニー・ベルニエの世間知らずのきょとんとした表情にはメロメロになった。無理やりセクシーな感じを出しているのも、ほんとに可愛い! カーボーイブーツのくだりが何度もみたいくらい好き。冗談でいいから、最後に「お隣さん」にカーボーイブーツ履いてほしかったな。


H recherche F(男 女を求む)

2016年02月01日 | フランス映画祭

 オンラインで世界未公開のフランス映画を配信している年に1度のお楽しみマイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2016も後半戦!
 http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/

 アニメーション短編「H recherche F(男 女を求む)」を見ました。なんつー直接的なタイトル・・・。
 

 主人公は、キャンバスに女性を描こうとするも理想の女性が思い浮かばず、描きあぐねている画家。彼はやむなく結婚相談所で運命の女性を探すことにした。そこでは絵画にかけられた幕をひとつずつ上げて、デフォルメされていたりキュビズム的だったり抽象画風だったりする様々な女性たちを紹介してくれる。

 絵画がそのまま動いているようなアニメーション。ドローイングの世界に迷いこんでいるようで、楽しかった。じゃあ、あの絵に描かれた女性と、あっちの絵の男性のカップリングはどうだろう、ピカソ×マティスは?なんて妄想も広がる。