Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

FRANK -フランク-

2014年10月28日 | 2010年代 欧州

 FRANK -フランク-

 2014年 イギリス=アイルランド
 監督:レニー・アブラハムソン
 製作総指揮:テッサ・ロス、キャサリン・バトラー、アンドリュー・ロウ、ナイジェル・ウィリアムズ
 製作:エド・ギニー、デイヴィッド・バロン、スティービー・リー
 脚本:ジョン・ロンスン (原作者)、ピーター・ストローハン
 出演:マイケル・ファスベンダー、ドーナル・グリーソン、マギー・ギレンホール、スクート・マクネイリー
 フランソワ・シヴィル、カーラ・アザール

 ミュージシャンに憧れるジョンは、日頃からキーボードで作曲をしているが、まあ、とりたてて才能はない。
ところが偶然にも、あるインディーバンドのキーボーディストの自殺未遂の現場に居合せ、代わりにライブへ飛び入り参加することになった。
 ノイズ飛び交う中、現れたフロントマンは、頭に「顔」のハリボテを被った男フランク。彼は「スープの中のクルトン、油に沈めー!」と絶叫し、熱狂的なステージが幕を開け、歪みまくったオルタナティブ・ロックが鳴り響く。


 フランクはステージの外でも被り物のマスクを外すことは無かった。
 寝る時も、シャワーを浴びる時も。
 誰も素顔を見た事が無いという。彼はいったい何者なのか。

 バンドはアイルランドの山奥に籠ってアルバム制作に取り組み、ジョンも新しいキーボードとして仲間に加わることになった。誰も聞いたことのないような新しい音を模索するあまり、制作期間は長々と延びていく。共同生活を始めた最初のうち、フランクは表情を口で「笑顔」「照れ笑い」とか、言ってくれている。
 それが、そのうちに説明なんてなくても、マスクごしに表情が伝わってくるから、不思議。
 顔なんて重要なパーツじゃないのかもね。
 もー、ほんとにフランクが、みてて和む。いいヤツだし、ロックンローラーとしても弾けてて、とぼけてて、サイコー☆

 ・・・のだけど
 周辺の人間関係のギスギス具合ときたら、ない。
 マネージャーのドンは、自分の精神状態のことで手一杯。クララはテルミンに触ろうとするだけで怒りだすし、バラクはジョンと英語で話す気が無いし、ナナはそもそも無視してる。

 ジョンはそれでもバンドに溶け込もうと、必死に曲をつくり、小屋の家賃を肩代わりし、レコーディング風景をYou Tubeに流して宣伝に努める。フランクという天才を見いだしたからには、自分もこのバンドでビックになってやろうという野望がむくむくと涌き上がるのはこの頃だ。
 一方のフランクは、他人の評価なんて関係なく、限られた仲間と好きなように好きな音楽を生み出してきたのに、ジョンが突きつける価値観に翻弄されだす。もともと精神疾患からマスクを被ったまま生きているフランクにとって、他人の評価は巨大な諸刃の剣のはずで・・・。

 これはジョンのような「もってない人」目線でみても、フランクみたいな「もってる人」目線でみても、それぞれに胸がズキンズキン痛む。
 いかにもイギリスらしい、アイロニーがばんばんに詰まった、心の折れるコメディ! 

LUCY/ルーシー

2014年10月07日 | 2010年代 欧州

 LUCY /ルーシー(原題:Lucy)
 
 2014年 フランス
 監督・脚本:リュック・ベッソン
 製作:ビルジニー・ベッソン=シラ
 製作総指揮:マーク・シュミューガー
 出演:スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケド、ジュリアン・リンド=タット

 
 10%しか使われていない、と言われる人間の脳が、もし100%機能したなら・・・っていうワンアイデアで
さくさくっと撮られたリュック・ベッソン監督の豪快サイキックアクション。

 韓国マフィアの闇取引に巻き込まれ、体内に化学物質を埋め込まれたルーシー。暴行を受けて物質がルーシーの
体に漏れ出してしまい、彼女の脳の覚醒が始まっていく。

 10%・・・20%・・・30%・・・と、脳の覚醒率が増していくに連れ、
んな、わけあるかーーい、な展開。
 覚醒者が他者(非知覚者)のパルスを操れるのはまだ良いとして、それが電子機器に対しても可能だったり、 
100%に近づくともう個体を維持できないとか、変化自在とか、素晴らしい暴走っぷり。
 しかもリュック・ベッソンのE.Tが見れるとは・・・。
 
 万が一にも脳科学好きな人が真面目に見てしまったら確実に期待外れだろうけど、あくまでエンターテイメントとして
「スカヨハ、かっこいい!!」で入り込んで、向かうとこ敵無しでぐんぐん目の色が変わっていく彼女とともに最後まで
ひた走っていくのが痛快。
 「目覚めた女子は最強」説は顕在なのだ。