Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

La Fille du 14 Juillet(7月14日の娘)

2014年01月28日 | フランス映画祭

オンラインにて開催中の『第4回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル』にて
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/

長編「La Fille du 14 Juillet(7月14日の娘)」を観賞。

エクトルは、7月14日に出会った女の子が忘れられない。
彼女と仲良くなるために、友達と一緒に海でバカンスを過ごそうと誘い出し、楽しい旅が始まっていく。

恋愛もの? ラブコメ? と思いながら観ていると
政府がバカンスを1か月短縮すると発表した時から、設定も登場人物たちも、もろ手を挙げて
すっかり壊れだしちゃう。
コメディ色、全開!
この展開は、やっぱり異文化だと思う。
フランス人にとって、いかにバカンスが大切なものなのか、思い知らされるなあ。

7ème Ciel(7番目の天国)

2014年01月26日 | フランス映画祭

オンラインのフランス映画祭『第4回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル』にて
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/

短編「7ème Ciel(7番目の天国)」
を観ました。

これは・・・フランス規制でR12なんだけど
日本だったら(PG12だけでR12はないから)R15かなあ。

でも大人でも観たくないものもあります!!
端的に、ネタバレさせると
ソフトゲイの青年がハードゲイに目覚める話!

映像的にはキツかった・・・けど、自我に揺れる青年が何をしても満たされない雰囲気が
よく出ていて、伝わってきました。
わからないんだけど、そのイライラだけはわかるという感じ。

Mademoiselle Kiki et les Montparnos(モンパルナスのキキ)

2014年01月23日 | フランス映画祭

さあ、今年もやってまいりました! 
オンラインのフランス映画祭『第4回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル』開幕!!
  ↓  ↓
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/

1月17日~2月17日までの1ヶ月間、未公開のフランス映画がダウンロードで観られます。
my・・・という名称通り、ささやかな私だけの楽しみといった感があります。
年明けからずっと、とても楽しみにしていました。
同じようにこのマイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルを待ち望んでいる人は日本全国に
2桁くらいはいるのだろうか? 3桁だとどうだろうか、と余計なことも考えてしまいますが、
いよいよ、「わたしの」フランス映画祭りを始めていきたいと思います。

まず1本目に選んだのは短編
「Mademoiselle Kiki et les Montparnos(モンパルナスのキキ)」

20世紀初頭のパリを闊歩し、数々の画家のモデルを務め、「モンパルナスの女王」と呼ばれたキキの半生を
約14分半で綴るアニメーション。
フレンチアニメーションお得意のカクカクした可愛い動きがあるかと思えば、絵画調になったり、
写真のコラージュだったりが組み合わされて、アーティスティックな仕上がりになっています。
当時を代表する芸術家たちが登場しますが、なかでも藤田嗣治のイメージがぴったりで、面白かったです。



ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987

2014年01月21日 | ロック映画、映像

「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」

2013年 日本
監督:佐藤輝


1987年8月、熊本県阿蘇で開催された日本初のオールナイト・ロックフェスティバルを追ったドキュメンタリー。
しかし収められているのは、ただのライブ画像ではない。
これを観ると、日本って凄いなと色んな意味で感じられる。

THE BLUE HEARTS、RED WARRIERS、岡村靖幸、HOUND DOG、BOØWY 、尾崎豊、佐野元春・・・
と蒼々たるロックスターが出演した「BEAT CHILD」には、予定数を遥かに超える約7万2千人の観客が集まった。
その開演前に突然の豪雨が襲い、草地の会場をぬかるみにし、ライブ前の興奮に包まれた観客たちをひどい勢いで打ち付けていった。
イベントが中止になってしまうのではないか、不安な表情の人々も少なくない。
スタッフも雨の中での機材搬入や送り迎えに時間をとられ、てんやわんやだった。

そんな中、会場に到着した甲本ヒロトは「おい、最高だな♪」と満面の笑顔。
間違いなく会場の誰よりもテンションが高く、この人がすべての雰囲気を変えていく。
楽屋でも「うわあ、すごい雨だな!」「今日は盛り上がるな!!」と本当に嬉しそうだ。
まだオープニングだからとか、この後の記録的豪雨を知らないからとか、そういう問題じゃない。
たとえば世界中がどしゃぶりの雨だろうとゲラゲラ笑えるんだ。 
ヒロトの盛り上がるな!の言葉通り、THE BLUE HEARTSのステージが始まると7万人が息を吹き返し、踊り狂った。

しかし雨はさらに強さを増し、岡村靖幸がステージに立つ頃には、歓声をあげる観客の姿も、雨と雷と闇に紛れて目では見ることができなくなってしまう。

豪雨によって何度となく機材のセッティングが立ち往生し、約1時間半遅れの状態で白井貴子がステージに立った。
こわばる表情を隠して、必死の笑顔を振りまく。
ギターがイカれて鳴らなくなっても、バンドが奥に引っ込んでも、一人きりで広いステージを走り回り、笑顔、笑顔、笑顔。
渡辺美里のような圧倒的なパワーではない。けれど、気迫のこもったステージだった。
なんていうか、奮い立たされずにはいられない。

雨粒まみれの映像をずっと観ているうちに、自分自身も雨に打たれているような感覚に陥る。
身体は冷え、心は燃えている。
HOUND DOGもBOØWYも渾身のパフォーマンスだった!
どしゃ降りの雨ゆえに引き出され、むき出しになる。

大雨警報が出され、記録的な豪雨の中で始まった尾崎豊のステージも凄まじかった。
体調不良で倒れる人が続出し、救急車がひっきりなしに病人を搬送している。
混沌を極める中で、雨にまみれ、水たまりに突っ伏していく尾崎の姿。
激しい歌声に胸をうたれるが、それとは全く逆に好天で行われた前日リハーサルの際のくだけた表情も印象的。

そして、やっとやっと雨は止み、大雨と泥濘とロックンロールに包まれた長い夜が明ける。
佐野元春の「SOMEDAY」が会場一帯に、みんなの心に響き渡る。
なんていう泥の中の大団円!
しかもプロデューサーの春名さんのオチ!つき。

いやあ、凄いなあ。
過酷を極める状態だったとは思うけど、そこに居た人たちを羨ましくも思う。
音楽はやっぱり魂で聴くもんだなあ。

バックコーラスの歌姫たち

2014年01月12日 | ロック映画、映像

バックコーラスの歌姫たち(原題:20 Feet from Stardom)

2013年 アメリカ
監督:モーガン・ネビル
製作:ギル・フリーゼン、ケイトリン・ロジャース
出演:ダーレン・ラブ、メリー・クレイトン、ジュディス・ヒル、リサ・フィッシャー、クラウディア・リニア、タタ・ヴェガ

冒頭で、ブルース・スプリングスティーンが言う。
「メインシンガーとバックコーラスとの距離は短いようだけど、長い。
それを縮めるのは、数歩の距離だけど難しい。」
そこから、つけられたであろうタイトルは「20 Feet from Stardom」
名だたるロックスター達のバックコーラスを務めてきた女性達のインタビュー&過去映像のドキュメンタリー。

ミック・ジャガー、スティング、シェリル・クロウ、ベット・ミドラー等、といったトップミュージシャン達から見た
バックシンガーへのコメントも寄せられ、レコーディング風景や往年の秘蔵画像などもあり、わくわくしながら見た。

エルビス・プレスリー、フランク・シナトラ、サム・クックらのバックコーラスを務めた大ベテラン、
ダーレン・ラヴは、別の歌手がリリースする歌をスタジオで録音させられる不当な扱いが続き、
一時は音楽の世界を諦めて、ハウスキーパーとして働いていたことも。
掃除中にラジオから流れてきた自分の曲「クリスマス」を耳にして「世界は私を待ってるんだわ」と復帰を決める!

レイ・チャールズのバックコーラス隊として活躍したメリー・クレイトンは、その孤高の存在感で、
キャロル・キングのアルバム「つづれおり」、レーナード・スキナードの「スウィート・ホーム・アラバマ」等
名作を彩ってきた。
なかでもローリング・ストーンズ「ギミー・シェルター」でのコーラスパートが印象的。
録音当時は、真夜中に急に呼び出されて、パジャマ姿にコート羽織って、カーラー巻いた頭をスカーフで
隠して向かったらしい。
スタジオで手渡されたのは「強姦、殺人、目の前で始ろうとしている」という扇情的な歌詞。
何よ、コレ! こんなのワンオクターブ高い声で唄ってやるわよ、とブッ放った歌声が、
現在の彼女のインタビューにかぶって、「どう?」というメリー・クレイトンの満足げな表情といったら。

80年代からずっと、今も第一線で活躍し続けるリサ・フィッシャーは、充分な実力を持ち
91年にはソロとしてグラミー賞に輝き、どの道でも選べるとされながらも、バックシンガーとして生きることを選んだ。
確かにリサ・フィッシャーの技量は、素晴らしい以外無い。
ただ「メインステージに立てるかどうかは、技術じゃなく、強さだ」と言うブルースの言葉は
彼女にピッタリじゃないかと思う。
ずっとソロでやっていくには、彼女は優しすぎる、でもだからこそ、人と寄り添えるのだ。

マイケル・ジャクソン追悼式典で「ヒール・ザ・ワールド」を唄い、一躍世界から注目を集めた
ジュディス・ヒルは、バックシンガーからソロ歌手へと変貌を遂げる。
しかしそれ以降に、カイリー・ミノーグやスティーヴィー・ワンダーのバックコーラスを務めたところ、
ファンの一部から非難されるも「ばれちゃった?」とツイート。
バックコーラスは今の副業と言いきる彼女のしたたかさは見事。

これほどにバックシンガー達がメイン歌手との差を感じ、辛酸をなめてきたなんて、意外だった。
今まであえてフューチャーはされてこなかったけど、光の当たらない道だなんて。
同性の私からしたら、特に感受性の強い中高生の頃には
大好きなバンドの曲に、女の人の声が絡んでくると、それはジェラシーの対象だった。
コーラス部分はとにかく妬ましくて、痛いくらいの想いで、全身を耳にして聞いていた。

メインステージから約6mの距離、そこからの物語の数々を感じることができた。
ラストに、ダーレン・ラヴがメインヴォーカルで、リサ・フィッシャーやジュディス・ヒル、ジョー・ローリーが
バックコーラスを入れる「リーン・オン・ミー」のスタジオライブが流れ、胸が熱くなる。
見て良かったぁと思ってると・・・
エンドロールで、ブルース・スプリングスティーンがバックコーラスにまわってるのがまた、かっこいい!
最後に持ってくんだもんなあ。