Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

鑑定士と顔のない依頼人

2013年12月27日 | 2010年代 欧州

鑑定士と顔のない依頼人(原題:La migliore offerta)

2013年 イタリア
監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルビア・ホークス、ドナルド・サザーランド、
フィリップ・ジャクソン、ダーモット・クロウリー

美術品オークションの鑑定士ヴァージル・オールドマンは、
ある女性から両親が残した美術品を査定してほしいという依頼を受ける。
だが、彼が屋敷へと向かっても、査定が始まっても、依頼人は姿を現さないまま。
代わりに見つけたのは、18世紀から伝わる伝説的な機械式自動人形の破片。
彼女は、いったい何者なのか・・・。

主要登場人物の少ないミステリーは、悲しい。
誰も彼もを疑ってしまう。
そうして疑った自分を責めて、しかし、再度疑ってかかる。

一方では、いつ裏切られるのか、今か、次か、待ってしまう。

名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が仕掛けた罠は、残酷だ。
種明かしが無いなんて。

ずっと美術品だけを愛してきたヴァージルがはじめて知った恋と裏切り。
筋道通りに考えれば、そのままだけれども、もしかしたら、もしかしたら、と
わずかな可能性にすがってしまう。
だいたい「すべてを記憶する女」が言っていることが真実だという証拠は?
どこまでが本当で、どこまでが嘘なのか。
最後には、ヴァージルとともに儚い夢の中に取り残されてしまう。

ブランカニエベス

2013年12月21日 | 2010年代 欧州

ブランカニエベス(原題:Blancanieves)

2012年 スペイン=フランス
監督・製作・脚本:パブロ・ベルヘル
出演:マカレナ・ガルシア、マリベル・ベルドゥ、ダニエル・ヒメネス・カチョ、アンヘラ・モリーナ
ソフィア・オリア、ホセ・マリア・ポウ、インマ・クエスタ


高画質高音声の時代にあえてのモノクロ無声映画。
彩るは、フラメンコの情熱的なリズム。
物語は誰もが知る「白雪姫」だけれども、その行き着く先は誰もわからない。

意地悪な継母に育てられた娘は、命からがらに逃げついた先で
小人に囲まれ「白雪姫」として闘牛士になることに。

この小人たちがグリム童話の絵本でみるような、ほがらかなおじさん達では決してないとこがミソ。
陰鬱だったり、意味ありげだったり・・・邪悪な表情の小人たちに誘われ、どんどん深みにはまっていく。
後に残るは、闘牛の興奮と毒りんごに侵された白雪姫の深い悲しみ。

よくぞまあ、ここまで!と思わせるダークファンタジー。
本当は怖い白雪姫というか、大人のためのグリム童話というか、
子供向きじゃないのは確か。

継母役のマリベル・ベルドゥが美しすぎて、そのプライドの高さにも納得!
童話の白雪姫の中では大事なエッセンスだけど「鏡よ、鏡」ってシーンをわざわざ入れなくてホントによかったな、と思う。
継母が怒り狂うのは、白雪姫の評判が自分よりも上で、インタビューされた雑誌の表紙を奪われたから。
鏡=世間、という摺り替えも見事です。

リオ・ブラボー

2013年12月08日 | 1950年代 米

リオ・ブラボー(原題:Rio Bravo)

1959年 アメリカ
監督・製作:ハワード・ホークス
脚本:ジュールス・ファースマン、リイ・ブラケット
出演:ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソン、アンジー・ディキンソン、ウォルター・ブレナン、ジョン・ラッセル



テキサスの、とある町「リオ・ブラボー」保安官のチャンスは、これまで数々の悪事を働いていたジョーをついに捕えた!!
地方の権力を握っているジョーの兄は部下をつかって町を封鎖し、激しい攻防が始まる・・・
というほどの緊迫した展開ではなく、
余裕シャクシャクのジョン・ウェインに安心感をもって見ていられます。

銃の撃ち合いはあるものの、保安官の日常を描いたテレビドラマ的な感じ。
保安官側の、足も口も悪いスタンピイじいさんや、早撃ちで酔っ払いのデュード、まだ若いが目端の利くコロラドといった面々との掛け合いが楽しくて、手に汗を握るというよりはニヤニヤしながら観ちゃう映画です。

はらはらするシーンといえば、宵越しの金は持たねえ程に酒に溺れるデュードが
もう一杯やる金ほしさにタン唾まで手を突っ込んでコインを拾おうとしたり
酒をやめて保安官の相棒役を続けるか、酒狂いの一生を終えるかという葛藤と闘うところ。
これは、酒飲みにとっては痛いくらいにわかる!!(あ、わかるほど飲んじゃだめか)
でも人間臭さがあって、いいキャラクターなのですよね。