Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

地下鉄のザジ(映画)

2011年08月24日 | 1960年代 欧州
地下鉄のザジ (原題:Zazie dans le Metro) 
                 
フランス 1960年
監督:ルイ・マル
出演:カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、ヴィットリオ・カプリオリ

母親に連れられ、田舎からパリへ出て来たザジ。
ザジは好奇心旺盛で、いたずらが大好きな10歳の女の子です。
母親は、兄のガブリエルにザジを預け、自分は勝手に遊びにでかけてしまいます。

ザジはパリで地下鉄に乗りたかったのだが、ストライキのために地下鉄はストップ
しています。
しょうがなく伯父さんにつれられて街の見物。
その翌日、ザジはこっそりひとりで街に出て、パリの人たちにいたずらをして回る・・。

典型的スラップスティックコメディ(ドタバタ喜劇)とも言われる作品だけど、
それだけではなく、かなりシュール。
ザジの可愛いらしく、おしゃまで、むちゃくちゃな行動に目を奪われているうちに
いつのまにか深い闇へと引き込まれていくよう。

ガブリエルの「これも、また夢」と言う台詞が印象的です。
この映画のストーリーのことを言っているのか、
この映画を見ているわたし達の人生を指しているのか・・・。

時折、ギクッとするような台詞を散りばめて
コメディの中にある必然的な暗さを強調している気がします。


シャロウ・グレイプ(映画)

2011年08月17日 | 1990年代 欧州
シャロウ・グレイプ (原題:Shallow Grave)

1994年 イギリス
監督:ダニー・ボイル 
出演:ケリー・フォックス、ユアン・マクレガー、クリストファー・エクルストン

アレックス、デイビット、ジュリエットの3人は、同じアパートをシェアして仲良く
暮らしている。彼らは4人目の同居人を募集し、入居することになったヒューゴは、
引っ越したその夜に急死してしまう・・・。

サスペンスとしては、静かな映画だと、思います。
急死した死体を、淡々と受け入れて行く彼らの日常。
犯罪に手をそめていく決意、興奮、恐れ・・・。

どの感情にも「迷い」が含まれていて、だからこそ、自分は身を置いた事の無い状況
にもかかわらず、どこか日常のリアリティーを感じとってしまう。

それが空恐ろしい気がします。

それはさておき、ユアン・マクレガーの初々しい様子(映画出演2作目)には、思わず
目をほそめてしまいます。
まだ若かりしユアンの表情の生き生きしていることと言ったら・・!!
これだけで、わたしは、ご飯3杯いけますね。


フェリーニのローマ(映画)

2011年08月05日 | 1970年代 欧州

フェリーニのローマ (原題:FELLINI`S ROMA)

1972年 イタリア
監督:フェデリコ・フェリーニ
出演:ピーター・ゴンザレス、フィオナ・フローレンス、ピア・デ・ドーゼス

イタリア映画の巨匠フェデリコ・フェリーニが、都市ローマそのものを描いた作品。

太古の昔から権力者の源であり、盛衰を繰り返す街・ローマ。青年フェリーニによるエピソードの数々、高速道路の喧噪や、地下鉄工事中に発見された壁画、売春窟と公娼の館、でこぼこの家族たち、教会ユニフォームのファッション・ショーなど、浮かんでは消えるイメージは、まさに幻想。

どこまでが夢で、どこまでが現実なのか。
混沌の海が押し寄せては、ひく。
その中で、観光ガイドブックには無い、生々しいローマがみえてきます。

この映画には、主人公としての特定の登場人物はいません。ただ、ローマそのものを描くべく
時には皮肉まじりに、時には笑いをまじえて、小さなシーンが羅列されています。
あれも、これもと欲張って詰め込まれた買い物かごのように、ごちゃまぜのようでいて
一定の傾向を保っている映像群は、さすがの一言。
深い洞察力と、都市への愛情を感じさせられます。

しかし、ローマ旅行の前に雰囲気をつかもうと借りたDVDだったので、これからこの街を歩こうとする
にあたっては、混乱が深まるばかり。
さあ、ローマに行ったら、いったいどんな顔の街が観られるのか。