Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

トランス

2013年10月22日 | 2010年代 欧州

トランス(原題:Trance)

2013年 イギリス
監督:ダニー・ボイル
製作:ダニー・ボイル、クリスチャン・コルソン
製作総指揮 :フランソワ・イヴェルネル、バーナード・ベリュー
脚本:ジョー・アヒアナ、ジョン・ホッジ
出演:ジェームズ・マカヴォイ、ロザリオ・ドーソン、ヴァンサン・カッセル

絵画のオークション会場で働くサイモンは、ギャングと共謀し、ゴヤの名画を盗み出した。
しかし彼は頭を強く殴られ、絵画の隠し場所の記憶を失ってしまう。

そこで、雇われたのが催眠療法士エリザベス。
サイモンを催眠状態にして、意識の奥底へと導いていく。
催眠(トランス)に継ぐ催眠(トランス)。
ワンシーンの切り替えの早さや、カメラアングルの不安定さだったり、衝撃音だったりにも
混乱を誘われ、え、いつから誰がどこまで何をどうしたって?って、状況に陥っちゃう。
観ているこっちまでがトランス状態にぐいぐい引き込まれる。さすがはダニー・ボイル。
この揺さぶられる感触が気持ちいい。

加えてトランスを司るエリザベスの魅惑的な微笑みが、実に恐ろしい。
プロ意識、恋心、欲に情けに復讐心、どれもがごた混ぜで
彼女が一番まともじゃないというのが怖いところ。

それにしても、この映画を観てわかったことは
昨今では記憶もiPadにインストールされているらしい。
猫も杓子もだなあ。

パーフェクト ストーム

2013年10月19日 | 2000年代 米

パーフェクトストーム(原題:The Perfect Storm)

2000年 アメリカ=ドイツ
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
製作:ウォルフガング・ペーターゼン、ゲイル・カッツ、ポーラ・ワインスタイン
製作総指揮 :バリー・レヴィンソン、ダンカン・ヘンダーソン
脚本:ビル・ウィットリフ、ボー・ゴールドマン
出演:ジョージ・クルーニー、マーク・ウォールバーグ、ジョン・C・ライリー、ウィリアム・フィクナー、ダイアン・レイン、ジョン・ホークス

実話を元にしたセバスチャン・ユンガーの『パーフェクトストーム -史上最悪の暴風に消えた漁船の運命』映画化。
大嵐で行方不明になったメカジキ漁船の行方を描く。

ストーリー展開やセリフまわしは、21世紀のものとは思えないくらい古い印象で、
大荒れの波のCGは迫力あるなあとは思うものの、制作されてから10年以上経ってから見ると
断然に今のCG技術の方が優れているので、拍子抜けの感はある。
やっぱり、こういう映画はできたてホヤホヤの時に劇場で観るのが、当然いい。

しかし注目すべきは、船員たちのポジティブさ。
どんなにひどい嵐が来て、船中が水びたしになっても舵を抱えて「やっほーーい」と乗り切っちゃう明るさ。
暴風雨の中、キラキラした目で夢を語る、愛を語る。
心の強さがハンパ無く強い。
一分一秒でも生き抜こうとする、海の男のタフさをまざまざと感じた。

夢追い

2013年10月04日 | 1970年代 欧州

夢追い(原題:A NOUS DEUX)

1979年 フランス=カナダ
監督:クロード・ルルーシュ
製作:クロード・ルルーシュ、ドニ・エロー、ジョゼフ・ボビアン
脚本:クロード・ルルーシュ
出演:ジャック・デュトロン、カトリーヌ・ドヌーブ、ジャック・ビルレ、ジェラール・ケロー、ポール・プレボワ

ギャング一味の中で育ったシモンは、亡き父の後を継ぎ、いっぱしの泥棒になっていた。
盗みを重ね逮捕されるも、脱獄したシモンは、一時、田舎の隠れ家へ避難する。
そこには、美人局も請け負う高級コールガールのフランソワーズも逃げ込んでいた。

しかし、その隠れ家も襲撃を受け、難を逃れた二人はともに逃げることに。
ラジオからは「ふたりは武装して逃走中」との報道が流れている。
「ボニーとクラウドね」と、フランソワーズの言う通り
フランス版ボニー&クライドと言えなくもない・・・かな、
いやいや、ちょっと違うでしょ。
タチが悪いことに、ふたりとも、意志が無いのだもの。
犯罪に手を染めるのは、ただそれが当たり前だから。
金に困っているわけでも、快楽を求めているわけでもない。

なんというか、犯罪映画とは思えないアンニュイ具合。
惹かれ合うようでもあり、単に流されているようでもあり。

高級コールガールのフランソワーズは、36歳の頃の麗しきドヌーブ様。
幼い頃からコンプレックスを抱えていて、プライドが高く孤独で儚くて、
投げやりな瞳も、けっこう好き。