Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

華麗なる対決

2012年06月28日 | 1970年代 欧州

華麗なる対決(原題:Les Petroleuses)
1971年 フランス=イタリア=スペイン
監督 クリスチャン=ジャック
出演:ブリジット・バルドー、クラウディア・カルディナーレ、ミシュリーヌ・プレール、マイケル・J・ポラード

1980年代のニューメキシコが舞台。
ちまたで話題の強盗団「フランスキング」は、実は美しいルイーズとその妹たち。
このルイーズ役がブリジット・バルドー、狡猾な表情がなかなか良いです。
美人は、西部劇風に銃を扱っても、かっちょいいのですね。
彼女らは列車を襲撃し、乗客から牧場の売買契約書を奪います。

一方、近隣の村に住むマリアは、その牧場に油田があることを示す地図を手に入れます。
これがクラウディア・カルディナーレ。お転婆役が似合ってて、馬に乗る姿もなかなか決まってます。

ルイーズとマリア、2大女優が牧場を巡って攻防を繰り広げるのですが、
アップテンポのコメディで楽しい。サービスショットも随所で織り込まれてるし、
気負いすぎてない感じが良いです。

ミッドナイト・イン・パリ

2012年06月24日 | 2010年代 米

ミッドナイト・イン・パリ
2011年 アメリカ=スペイン
監督・脚本:ウッディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、キャシー・ベイツ、コリー・ストール、トム・ヒドルストン、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ

ハリウッドで脚本家をしているギルは、恋人のイネズと結婚の約束をし、式の打ち合わせのために訪れたパリで
1920年代へと迷い込む。それは数々の画家や作家、表現者たちが夢を夢見て闊歩していた時代。
ギルはヘミングウェイに連れられていったガートルード・スタインのサロンで、ピカソの愛人アドリアナと出会い
好意を抱くようになっていく。

キャシー・ベイツがガートルード・スタインとは恐れ入りました。
フィッツジェラルドはイメージ通り!! でも、ヘミングウェイはまとも過ぎるなあ。
T・S・エリオットは外遊してたかもだけど、1920年のパリに誘う人物としてはどうか? 
・・・とか勝手なことを想ってはニヤニヤするのが楽しすぎる!!

欲を言えば、ジャン・コクトーの姿もしっかり見せて欲しかったし、プルーストにも居てほしい。
ラベェルやサティの音楽もフューチャーして欲しかったし、ボーヴォワールやサルトルの幼き姿も見てみたい。
のちのち遡ってロートレックやドガを出してくるなら、シュザンヌ・ヴァラドンモーリスを軸にユトリロも
出演させておいて繋いで欲しい。もう少し遡って1870年代のムーラン・ド・ラ・ギャレットにいるルノワールや
セザンヌの姿もパリには欠かせない。その時代ならランボーも出せるし♪と、妄想がとまらない・・・。はあはあ。
よくぞ、この戯言のような世界を作ってくれました。
パリって、そう!! これだったよねっていう。
もう一度、夢をみてみようという気持ちになりました。

わたしとしてはダラダラと一晩中続けてくれてかまわないのですが
そこはそれ、商業映画の酸いも甘いも知り尽くしているウッディ・アレンがきっちり纏めてくれています。
懐古主義へのアイロニーをも込めて紡ぎあげられる珠玉の作品。

チェ 39歳別れの手紙

2012年06月11日 | 2000年代 欧州
チェ 39歳別れの手紙

2008年 スペイン=フランス=アメリカ
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ/カルロス・バルデム/デミアン・ビチル/ヨアキム・デ・アルメイダ

革命家チェ・ゲバラの半生を2部作で描く後編。
前作を見終わって、続けて観ました。
「28歳の革命」が革命の光を映し出したとすれば、影の部分を色濃く描いた2作目。

観ていて、とても苦しかった。

キューバ革命を成功させ、他の国々でも圧政に苦しむ民衆を救いたいと、
とキューバを離れたチェ・ゲバラ。
ボリビアでゲリラ部隊を結成するが、キューバと比べ兵士たちの士気は格段に低い。
農民達の理解も得られず、逆に罠にかけられたりと、苦境にたたされる。


チェの考えと反し、闘いを嫌う農民達。
それも、わかる。弱き民であればあるほど苦しいながらも現状を受け入れ変化や
物騒な事柄を嫌うであろう。

「ゲリラ」とはいったい何なのか、考えさせられた。

テロリストが民間人を巻き込んだ爆発事故を起こせば、国際ニュースとなって
「何人死亡、何人重軽傷」と報道される。
が、飢餓で死亡した人の数は、日々報道されない。
圧政によって苦しんで倒れた人の数も。
それは事件ですらないからだ。

「戦争はいけない」「テロは悪だ」そんな単純な問題じゃない。
革命は成功して人々の賛同を得られれば、正義になる。
が、もちろん、そうでない場合の方が圧倒的に多い。

誰が、人々の生活と真剣に向い合って、闘っているのか。

チェ•ゲバラの「我々の失敗によって人々は目覚めるかもしれない」
という言葉を深く胸に刻んだ。

チェ 28歳の革命

2012年06月09日 | 2000年代 欧州

チェ 28歳の革命

2008年 スペイン=フランス=アメリカ
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ/デミアン・ビチル/エルビラ・ミンゲ

20世紀最大のカリスマと言われる革命家チェ・ゲバラの半生を2部作で描く前編。
フィデル・カストロと出会ったチェ・ゲバラが、キューバ革命へと突き進む。

アルゼンチン人の青年医師であるゲバラが、フィデル・カストロに同調し、
ともにキューバに渡って、独裁軍事政権を打倒するべく闘っていく・・・
のだけど、これがまた地道。

派手さはなく、淡々とした描写で行軍させているシーンが多く、
その中で少しずつ民間人や兵士を味方につけていく。

常に周囲の人を気遣って声をかけ、信念に満ちた顔つきで進むチェ•ゲバラ。

「祖国か死か」

熱く重い言葉がこころに響く。
チェ•ゲバラの人類に対する深い愛が、かいま見える。

「20世紀最大のカリスマ」と評される彼を、スーパースターとしてではなく
泥臭い人間としてリアルに描く。

ドキュメンタリータッチなので、最初は入り込みづらいのだけど
いつのまにか、スクリーンに釘付け。キューバ革命の、かの地に、あの時に
自分自身も立ちあっていた!! ような気持で興奮しきりだった。

ペネロピ

2012年06月03日 | 2000年代 欧州

ペネロピ
2006年 イギリス
監督:マーク・パランスキー
出演:クリスティーナ•リッチ/ジェームズ・マカヴォイ/キャサリン・オハラ/リチャード・E・グラント

名家の娘・ペネロピは、大昔に一族にかけられた呪いのためにブタの鼻と耳を持って生まれてきた。
名家の人間にブタ顔の彼女が愛されれば、呪いは解けるというが・・・という設定なのですが
ブタっ鼻つけてても、クリスティーナ・リッチはなんてなんてキュートなの!! 
これがドリュー•バリモアがブタ顔の娘役だったら似合いすぎて、ぜんっぜん違うストーリーになって
しまうだろうけど(もちろんドリューのことも大好き。ボッサボサの頭でやさぐれたペネロピもリアリティ?
があっておもしろそう・・・)
しかしクリスティーナ・リッチの理知的な顔つきはブタ鼻ごときでは崩れません。

勝ち気な目、意思的な口元・・・
今までずっと家の中でだけで生活していたペネルピは、マフラーで鼻を隠して外へ出て、ひとりで暮らし
はじめ大人への階段をのぼっていく・・・
外の世界にとまどいながらも、自分の中の偏見に打ち勝っていく彼女はステキです。

そして相手役のジェームス•マガヴォイも良かったっ。
今回のマガヴォイは仕草が荒っぽい割に瞳の動きが色っぽくて「恋してる」表情がよく出てました。
瞳キラキラが2割増で、たまらなかったです。