Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

華麗なるギャツビー

2013年06月18日 | 2010年代 米

華麗なるギャツビー(原題:The Great Gatsby)

2013年 アメリカ=オーストラリア
監督:バズ・ラーマン
製作:ダグラス・ウィック、バズ・ラーマン、ルーシー・フィッシャー、キャサリン・ナップマン、キャサリン・マーティン
製作総指揮 :バリー・M・オズボーン
脚本:バズ・ラーマン、クレイグ・ピアース
出演:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、
アイラ・フィッシャー、エリザベス・デビッキ、ジェイソン・クラーク

F・スコット・フィッツジェラルドの代表作「The Great Gatsby」5度目の映画化作品。

狂騒の1920年代、ニューヨーク。禁酒法のあった時代。
夜ごとに豪華絢爛なパーティを開く大豪邸があった。
主催者は、誰もその真実の姿を知らないという、謎の男ジェイ・ギャツビー。
湯水のように金をかけたパーティに、招待も受けていない客がわんさと詰めかけ、大騒ぎを繰り返していた。

その、すべてはギャツビーが恋した女性・デイジーのため。
それはそれは、壮大な茶番劇。見終わった後、脱力感に襲われます。

ディカプリオは、いい感じに嫌な野郎になったなあ。
今年3月に公開された「ジャンゴ 繋がれざるもの者」の悪領主役も良かったけど、
このギャツビーの貼り付いた笑顔の下には、虚栄心が燃え上がるのが見えてきます。
生涯をかけた恋をして、手段を選ばず、成り上がって来たギャツビーの心の荒廃を突きつけられました。
そして哀しいほどに懸命な男の姿・・・。

ギャツビーの正体を知りながら、そこに光を見いだすニックは優しすぎ。
良家で育った寛容な青年は、トビー・マグアイアの雰囲気にピッタリです。
ニックは、アルコール依存症の治療のために入った診療所でギャツビーとの思い出を執筆し始めるという形で
語り手の役を担っているのですが、原作には無い設定だし、わざわざ感もあり、語りで繋ぐ部分が過多。
しかも、実際に依存症であったトビーにそれをさせるのは意地が悪いです。

どちらかといえば、キャラ重視の印象が強い、今回の“ギャツビー”。
シーンそれぞれを誇張したような演出は3Dでの公開を意識したものかと、感じます。

わたしは、この小説の中で大好きな登場人物がいて、それはプロゴルファーのジョーダン・ベイカー。
演じたのは新人のエリザベス・デビッキ。

尊大で、凛としたミス・ベイカーが様になっていて素敵でした。
ギャツビー邸での華麗なるパーティのど真ん中を、堂々と風をきって歩くベイカー。
好きな人には点が甘くなってしまいます。

一方、ギャツビーの理想の女性であるデイジーには、もう少し品が欲しいところでしたが
たぶん、デイジーに関しては、完成形は無いのだと思えます。

ブルースが聞こえる

2013年06月06日 | 1980年代 米

ブルースが聞こえる(原題:Biloxi Blues)

1988年 アメリカ
監督:マイク・ニコルズ
製作:レイ・スターク
脚本:ニール・サイモン
出演:マシュー・ブロデリック、クリストファー・ウォーケン、マット・マルハーン、コリー・パーカー、ペネロープ・アン・ミラー


太平洋戦争当時、徴兵されたアメリカ人の青年たちは、汽車でまず訓練所へと向かいます。
訓練所では、鬼軍曹のもと、10週間にわたる厳しい戦闘訓練が行われるのです。

とは言いつつ、まだまだ旅行気分の若者たち。
戦場に行くにあたっても、「もし死ぬことが決まっていて1週間猶予があったら何をするか?」なんて
話題で夜中盛り上がったり、自由行動日の外出にはめを外したりと、とにかく楽しそう。
この映画の脚本を担当したニール・サイモンの回顧録である、とされているのですが
んーー、この、ゆるい和気あいあいムードはなんだろう。
実際にそうだったんだろうか、アメリカ兵にとっての第二次世界大戦は。
戦場を描いているわけではないので緊迫感が無いのはしょうがないかもしれないけど
少なからず、ショックでもあります。

陰険なようで、実は青年たちに深い共感を抱いているトゥーミー軍曹を演じるのは、クリストファー・ウォーケン。
ウォーケンは、年をとるほどに目尻がセクシーになっていくと思うのですが、この頃は、まだまだ若いですね。
この人がいてこそ、と思えるストーリーです。







オブリビオン

2013年06月01日 | 2010年代 米

オブリビオン(原題:Oblivion)

2013年 アメリカ
監督:ジョセフ・コジンスキー
製作:ピーター・チャーニン、ディラン・クラーク、ダンカン・ヘンダーソン、ジョセフ・コジンスキー
脚本:ジョセフ・コジンスキー、ウィリアム・モナハン、カール・ガイダシェク
出演:トム・クルーズ、オルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン、メリッサ・レオ、アンドレア・ライズボロー

2077年の地球。
エイリアンとの壮絶な戦いの後、地球は壊滅状態になり、生き残った人類たちは他の惑星へ移住していた。
ジャックとヴィットリアは、地球での環境整備装置の監視任務を請け負ったチームだ。

ふたりは特殊任務のために、これまでの記憶を消されている・・・というのがまず変な設定だなあ、
と思っていたけれど、このoblivion(忘却)が後々ミソになってくる。



核兵器によって破壊されつくされた地球の姿は、限りなく続く廃墟の砂漠で、胸が痛かった。
ジャックがわざわざニューヨーク・ヤンキースの帽子をかぶるのも、感傷的すぎる性格も痛々しい。
彼が湖畔に木を組んで隠れ家を作り、アナログレコードを聴いたり、古書を読んだりするという、
近未来と近過去との対比が、面白かった。

ある日、ジャックは墜落してきた宇宙船を発見し、女性の生存者・ジュリアに出会う。
ジャックとジュリアは、謎の集団に襲われ、彼らの基地に連れ去られてしまう。
誰も生存していないはずの地球で襲ってくる敵・・・エイリアンだと思っていたのは
モーガン・フリーマン!!
いやいや、ほんとに。
一応ね、役名はあるんだけれど、THIS IS THE モーガン・フリーマン って感じ。
丸ブチのサングラスに白いあご髭、太くて長い葉巻をくわえたBOSSだもの。
どっちが真実を語っているのか、一目でわかるっていうやつですね。

綺麗なワンビーススーツできめた、作り物の笑顔のヴィットリアと、長い髪を躍動的に揺らし、
タンクトップ姿で生き生きとした表情のジュリアとの対比も良かった。

SFアクションとしては、武器がもっさくて、もうちょっと手際よくやれないのかなあ、という部分も
あったのだけど、最近のトム・クルーズはスマートすぎないところが、個人的には好感度大。
つい応援したくなるというか、砂漠を駆け上っていくだけでも、ようし、がんばれよ、って思っちゃう。
ベテラン勢も頑張ってるから、トムも幾つになってもアクション続けてほしいなあ。