Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

HANABI

2012年02月23日 | 1990年代 邦
HANABI
1998年 日本

監督・脚本:北野武
出演:ビートたけし 、岸本加世子、大杉漣、寺島進、白竜

ポンポンとよく打ち上がった、花火というか、人が・・・。
世界は赤く染まり、爆音の後、静まり返って、息をのむ。
音が聞こえたときにはもう遅いんだ。

張り込みをしていた同僚の刑事が撃たれたと聞いた西は、
犯人を追い詰め、銃を連射する。
もう息の絶えている死体に、何度も、何度も撃つ。
圧倒的なバイオレンス。
警察を辞めた後も、西の世界は変わらず、自ら犯罪に手を染めていく。
けっきょく紙一重なんだなと思う。
善悪の観念なんてえ、ものは。
だけど、その次のシーンでは
不治の病にかかった妻との、どこまでもやさしい、やりとりを見せる。
そのコントラストが鮮やかで、叙情的ともとれる、暴力映画。

ところどころ挿入される絵画は、たけし本人の作品だそう。
1mmも狂いがないように、目指す世界観を自らの手で構築していく徹底ぶりはすごいな。
それを考えると、主人公が中古車をパトカーのカラーリングに塗りかえるシーンが
(最初は自分でぜんぶ塗んのかよ、大変だなって思ったけど)妙にリアリティー。

ミックマック

2012年02月18日 | 2000年代 欧州
ミックマック(原題:Micmacs à tire-larigot)
2009年 フランス
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
ダニー・ブーン、ドミニク・ピノン、ヨランド・モロー、ジャン=ピエール・マリエール、ジェリー・フェリエ、ミッシェル・クレマド、アンドレ・デュソリエ、ニコラ・マリエ


皮肉たっぷりの作品で、始終にやにや、クスクス笑ってしまいました。
父親が爆死した地雷、自分が撃たれたピストル弾、それぞれの武器製造会社の社長に復讐するため、
テロ攻撃を仕掛けるという、ストーリーだけを抜き出すと、なんとも暗い話なのですが、やる方も
やられる方も一癖あり、スクラップ工場の仲間たちのアングラな感じとか、社長さん達のドタバタ
ぶりがおかしくて、いちいちツボにきました。
そして、いたずらっぽかったのが、最終的には意外と大事になり、痛快です!!

そのくせ、作戦の手作り感は満載で、ほほえましいのがなんとも言えません。
中でも、軟体女を演じるジュリー・フェリエの活躍ぶりがすごくて、身体を折りたたんで歩いたり、冷蔵庫の
野菜室からでてきたり、ほんとに?って思うけど、実写なんですよね。
この映画の不思議な感じにぴったり合ってます。

アデルの恋の物語

2012年02月07日 | 1970年代 欧州
アデルの恋の物語
1975年 フランス
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:イザベル・アジャーニ、ブルース・ロビンソン、シルヴィア・マリオット、ジョゼフ・ブラッチリー

フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女アデル。
彼女は、想いをよせるアルバート・ピンソン中尉を追って、軍隊遠征先のカナダへと渡る。
ピンソン中尉はアデルに冷たい態度をとるばかりだったが、彼女はそれを認められず、恋の炎を激しく燃やすばかり・・・。

恋は辛いな。苦しいな。
でも、どうしようもなく、押し寄せてきてしまうのだな。
恋の辛さと激しさをありありと感じる作品。

誇り高き恋の囚人アデルを演じるイザベル・アジャーニの、
たっぷりと影を含んだ美しさに見惚れました。

これで18歳とは!