Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ザ・ブルー(映画)

2011年09月29日 | 2000年代 欧州
ザ・ブルー(原題:DER TOD FEIERT MIT THE POOL/SWIMMING POOL)

2001年 ドイツ
監督:ボリス・フォン・シコウスキー
出演:クリスティン・ミラー/ジェラルド・ダモフスキー/エレナ・ウルリヒ
/ジェームズ・マカヴォイ

典型的ライトホラー。だらだら晩酌しながら、おうちテレビで見るにはオーソドックスで
いいのかもしれませんが、踏襲に踏襲を重ねるしつこさに、背中がかゆくなります。
サスペンスやドラマの要素も薄いです。

でも、でも、
クリスティン・ミラーはこの役での評価を買われてアメリカ映画「ルームメイト2」の
配役を得たのかなあ、と思ったり、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのジェームス・マカヴォイ
の味気なさ(ちょ、失礼・・・)といったら、愕然とします。
そういう意味では、実に興味深い映画だったりします☆

22歳当時のマカヴォイは、ひと作品通して、ずっと普通の青年にみえました。
よくもここから化けたものです(・・・上から目線で、すみませぬ)。
「ナルニア国物語」のタナトスさんしかり、「つぐない」のロビーしかり、あの神秘的な
瞳はどうやって培われたのでしょうか。
まったく謎がとけません。


モンテーニュ通りのカフェ(映画)

2011年09月21日 | 2000年代 欧州
モンテーニュ通りのカフェ(原題:FAUTEUILS D'ORCHESTRE/AVENUE MONTAIGNE)

2006年 フランス
監督:ダニエル・トンプソン
出演:セシル・ド・フランス、ヴァレリー・ルメルシエ、アルベール・デュポンテル、クロード・ブラッスール、クリストファー・トンプソン

パリ・モンテーニュ通りに面する実在のカフェ「バー・デ・テアトル」
を舞台に、パリの著名人達の悲喜こもごもを描く群像劇。

ギャルソン見習いとして働くことになったジェシカは、そのカフェで、
さまざまな人々の出会いや別れ、それにまつわる想いを、好奇心旺盛な
子猫のように、あちこちに首をつっこみ、気まぐれに、軽やかに、時に
は所在なさげに、時には寄り添って、見て回る。
(セシルの仕草、表情ひとつひとつがかわいい~!! so so cute!!)


テレビドラマで人気の女優カトリーヌは、重厚な作品に出れない、と
嘆き、美術収集家のグランベールは今まで必死になって集めて来たコレ
クションをすべて手放すオークションを開く。世界的な人気ピアニスト
のジャン=フランソワは、営利主義の演奏会にうんざりし、田舎にすん
で病人や子どもたちの心を癒す音楽を演奏したいと言う。

彼らは皆、恵まれた地位にあるにもかかわらず、手の届いていないもの
に想いをよせる。
そんな想いを知らず、無邪気によっていくジェシカの無邪気な笑顔が
実に愛らしい。舞うように軽やかなステップに見惚れ、次々にシーンが
入れ替わる見事なこと。

このカフェや周辺に登場する魅力的な人物たちが、単にキャラで魅せる
のではなく、人生そのもの!というような苦悩や決断や、希望をこの
短いフィルムの中に詰めこんでいるところが、何とも素晴らしい。
素朴でいて、贅沢な、山盛りの砂糖菓子のような作品です。
 
  


イブラヒムおじさんとコーランの花たち

2011年09月18日 | 2000年代 欧州
「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」(原題:Monsieur Ibrahim et les fleurs du Coran)
2003年 フランス
監督:フランソワ・デュペイロン
出演: オマー・シャリフ / ピエール・ブーランジェ / ジルベール・メルキ / イザベル・ルノー / ローラ・ナイマルク / イザベル・アジャーニ

1960年代初頭のパリ。
モモは、父とふたり暮らしをしている13歳のユダヤ人の少年。
毎日の買い物や、食事を用意する役目をしているモモは、トルコ移民の老人の食料品店で、いつしか万引きすることを覚えていた。しかし店主のイブラヒムは、そんなモモに優しかった・・。

このまま進むのかと思いきや、物語があっちいったり、こっちいったりして、おもしろかった。
少年の性的な成長記かと思えば、父・息子問題だったり青春映画っぽかったり
移民問題、訴訟がはじまるかと思えばロードームービーばりに・・・
ひと粒でいくつもの味が楽しめるような、楽しい映画でした♪

そして、その中で主人公の少年であるモモが成長していったり
たちどまったりする姿が、なんとも愛らしかった。

モモは、例えば誰かに立ち向かったり戦ったりしないから
目に見えて強くはない。
でも、お父さんが出て行ってしまったときに、女の子に誘われて
道ばたでダンスするくらいの、余裕がある。
一時的な感情に流されているようで、それでいて、どこかタフだ。
ちゃんと物事をみてる。
芯が強くて、ひとつひとつ学んで成長して行ってる。

それをあたたかく見守るイブラヒムおじさん。
愛情に満ちた言葉とまなざしに、ぐっときました!!


つぐない(映画)

2011年09月14日 | 2000年代 欧州
2007年 イギリス
監督:ジョー・ライト
キーラ・ナイトレイ/ジェームズ・マカヴォイ/ロモーラ・ガライ/ブレンダ・ブレッシン/ヴァネッサ・レッドグレイブ/シアーシャ・ローナン
13歳の少女は、自分の姉と庭師の息子との逢い引きを偶然、目にしてしまい・・・。

豪邸に住む、官僚の娘、勝ち気でいて、ひた向きなセシーリア
その妹で、作家志望で多感な少女ブライオニー
姉妹と同じ家で生まれ育った庭師の息子で、実直なロビー

3人の想いが絡まり、運命に翻弄されていくさまが
哀しく、美しく、切ない。

妹は、ひそかに憧れていた庭師の息子ロビーと、自分の姉
セシーリアの情事を目撃し、ロビーを性犯罪者として告発。
成長するにつれ、自らの愚かさを知ります。

この妹の未熟さが、もどかしくもあり、懐かしくもあり・・・。

それぞれの視点から、同じ場面を繰り返す手法が撮られ、
誰か一人に共感するのではなく、この3人ともの気持ちに
想いを馳せさせられます。

物語の流れもカメラワークも俳優たちの表情も
切なさ満点。

心の奥底の鐘をこれでもか、これでもかと、ばかりに
打ち鳴らすような作品でした。


さくらん

2011年09月12日 | 2000年代 邦

さくらん
2007年 日本
監督:蜷川実花
出演:土屋アンナ/椎名桔平/成宮寛貴/木村佳乃/菅野美穂/永瀬正敏

8歳で吉原に足を踏み入れ、やがて伝説の花魁となった「きよ葉」の生き様を描く。
やはし、ここまで撮れるのは女性監督ならでは? というか、蜷川さんならでは?? かな。
男女の嫉妬と確執渦巻く泥沼の極地、遊郭の世界なんだけど、じめじめしてない、のが、すごい。

そして、なんといっても色彩感覚は流石のひと言に尽きます。極彩色が映える、映える!! 
難しくもいたって美しい色のバランスはどうしたら取れるのか、謎。

原作は安野モヨコさん。
大好きで、モーニング掲載時にも読んでいたのだけど、
連載期間も話もとぎれとぎれだったので、ストーリー自体はあまりつかみきれてませんでした。

この映画では作品をたっぷり堪能できました。
「きよ葉」が確かにいる・・! ああ、やっと彼女に出会えた。
彼女のウラハラな行動も表情も切なくて、気持ちがぐっと伝わって凄く良かったです。