Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ダイヤルMを廻せ!

2012年03月26日 | 1950年代 米

ダイヤルMを廻せ!(原題:Dial M for Murder)

1954年 アメリカ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:レイ・ミランド/グレース・ケリー/ロバート・カミングス/ジョン・ウィリアムズ/アンソニー・ドーソン

フレデリック・ノットのテレビ劇を作者自身が脚色し直したヒッチコック監督のミステリー。

資産家である妻の浮気を知った夫は、犯罪歴のある知人を脅して、妻の殺害を計画しますが
いざ襲いかかった際に、知人は妻に刺殺されてしまいます。
それならば、と夫は妻を殺人犯に仕立て上げようと・・・展開が流れるように続き
ストーリー構成の見事さに加え、無駄のない構図に魅せられます。
今のセットのように物が多過ぎないのも良いところ。
ちゃんと一目で設定がつかめるし、登場人物たちがひとつの部屋の中で右往左往し
動きまわる様子は、如実にそれぞれの感情を表しています。

あまりに入り込んで、妻を殺害しようとする「夫」に共感しているのか、
浮気した「妻」に共感しているのか、観ていてわからなくなる・・のが技なんでしょうね。

トイレット

2012年03月19日 | 2010年代 邦
トイレット toilet
2010年 日本=カナダ
監督・脚本: 荻上直子
出演:アレックス・ハウス、タチアナ・マズラニー、デイヴィッド・レンドル、もたいまさこ

ママが日本から呼び寄せたばーちゃんは、ママが亡くなってからも帰国することなく、家に居続けた。
言葉は通じず、食事も満足にとらないため、ばーちゃんの面倒をみるのに困った孫娘のリサは、
家を出ていた兄レイにしばらく同居してもらうよう頼む。
上の兄のモーリーはパニック障害で外に出られず、頼りにならないのだ。

レイは、家族の面倒に追われ不満に思いながらも、ばーちゃんが毎朝トイレから出て来る度に
必ず深いため息をつくのが気になってしかたない。

そういうことが気にかかるのは、本質的にとても優しいのだなあと思う。
この映画に出てくる人々は、みんな優しい。
心がふわーっとあったまる。なんだろう、この浮遊感。

ば-ちゃんは食事はどうしてたのか、とか、日本の親族はどうしたのかとか、
トイレから出てきた時の深いため息はほんとにトイレがウォシュレットじゃないからなのか、とか・・
謎はいろいろあるけど、静かにずっしりと「もたいまさこ」の存在感がのしかかってくる。

わたしも、あんなばーちゃんにミシン直してもらいたいし、
一緒においしい餃子つくりたいし、
お金融資してもらいたいなあ(笑)。

そうだ、ばーちゃんがいると日常が特別なものに変わって、すごくワクワクするのだ。
ばーちゃんは穏やかに座っているだけなのに。

しかし最後のオチはどうだろう・・
素晴らしき日本のテクノロジーって言いつつも、遊んでるよね、完全に。

恋は足手まとい

2012年03月07日 | 2000年代 欧州
恋は足手まとい(原題:Un fil à la patte)
2005年 フランス
監督: ミシェル・ドヴィル
出演:エマニュエル ・ベアール、シャルル・ベルリング、スタニスラス・メラール、ドミニク・ブラン、サラ・ フォレスティエ

「剣の舞」ってこんな話だったのかー なんて言ったら
ハチャトゥリアンに怒られますね、かなり。
「おフランス」な感じの恋愛コメディで、テンポだけは速いので、BGMとしてはとても合っていて
見終わった後、頭の中にこの曲だけが残りました。
舞台は19世紀末のパリ社交界。
売れっ子の歌姫リュセットの家には、彼女めあての客人が後をたちません。
リュセットの恋人エドワールはお金目当てに伯爵令嬢と結婚することに決めたのですが
当日になっても、それを言い出せないでいます。
何も知らないリュセットが結婚披露パーティで歌を唄うことになったから、さあ大変。

ベアールのコケティッシュな表情は魅力的だけど
歌姫っていう設定には無理があるし、
リュセット、エドワールともに、もうちょっと若い子を起用した方がいいのでは、と思ったりします。
いくつになっても恋はやめられないということでしょうか。
あっけにとられている間に終わります。