Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

アメージング・スパイダーマン

2012年07月14日 | 2010年代 米
アメージング・スパイダーマン

2012年 アメリカ
監督:マーク・ウェブ
出演者:アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、リス・エヴァンス、デニス・リアリー、マーティン・シーン、サリー・フィールド

前シリーズを「無かったこと」として観ると、おもしろい!という下馬評を聞いて、新しいもの、として観てみようと、映画館にいった。

しかし、もともとサム・ライミ監督&トビー・マグワイア主演の2002年からの『スパイダーマン』シリーズの降板により、新シリーズとして製作された映画、であるからして意識はどうしてもしてしまう。出だしは(原作/前作のピーターが新聞の契約カメラマンの設定であったことから)ピーターがカメラを持ったり、力の強い同級生に殴られたりと、前作を多少踏襲しているのだけど・・・。

やっぱり今度のスパイダーマンはひと味違った。
なんといっても、かっこいいのだ!!!
主人公役のアンドリュー・ガーフィールドが。
無邪気で素直で、澄んだ瞳。
これぞヒーロー! ヒーローなんだ!!

コンプレックスを抱えた主人公が変身によって世紀のヒーローとなる話じゃない。スパイダーマンになる前もかっこいいし、頭も良くて、家族問題の(伏線のための)トラウマはあるものの、コンプレックスに悩んでいたりはしない。

この映画で打ち出したかったのは、そんな葛藤を乗り越えた共感できるリアルヒーローじゃないんだろうな。
アメージング≒驚くほど見事な≒非現実的にすごい、で良い。
リアルじゃなくて良い。
非現実的であることをすべて了承したうえ観客が求める、2次元のヒーロー。ま、実際は3Dですが。
それにマッチしたアクション☆ 
時代を読んだ、良い最新作だったと思う。


怒りの葡萄

2012年07月10日 | 1940年代 米

怒りの葡萄(原題;The Grapes of Wrath)

1940年 アメリカ
監督:ジョン・フォード
出演:ヘンリー・フォンダ、ジェーン・ダーウェル、ジョン・キャラダイン、チャーリー・グレイプウィン
ドリス・ボードン

1939年に発売され、ピューリッツァー賞を獲得したジョン・スタインベックの小説『怒りの葡萄』の映画化。
同年のアカデミー賞ではジョン・フォードが監督賞を、ジェーン・ダーウェルが助演女優賞を受賞した。

1930年代のオクラホマ。トム・ジョードは、4年の懲役を終え仮釈放になり、故郷に戻ってきた。
だが久しぶりに辿り着いた家は廃墟になっており、その一帯に住む人々は皆、地主に土地を奪われ、
追い出されたのだという。

家族が身を寄せているらしい伯父の家で無事に再会を果たし、トムはあたたかく迎えられる。
子どもたちは「トムが脱獄!トムが脱獄!」と唄って跳ね回るし、おじいさんも嬉しげに「やりおった、
やると思ってたんだ」と満面の笑みで、トムが「仮釈放だ」と言ってまわらないといけない始末。
一家の団らんは何とも微笑ましい。

しかしオクラホマで耕す土地を失った一家は、働き口を求めてカリフォルニアへと旅立つ事に。
故郷を捨て新生活を夢見て向かった先では、同じように土地を追われた貧民たちが群れをなしていた。
搾取する者達によって家族は打ちのめされ、あえなく世を去ったり、逃げだしたりとバラバラに
なりながらも、どうにか転がり続ける。

憤り、憤り続け、個人の憤りを超えて、社会正義へと目覚めていくトムが
母に言う別れの言葉が凄い。

母に「お前の消息はどうしたらわかる」と聞かれ、

俺は暗闇のどこにでもいる。
母さんの見えるところにいる。
飢えて騒ぐ者があれば、その中にいる。
警官が人を殴っていれば、そこにいる。
怒り叫ぶ人の中に、俺はいる。
食事の用意ができて笑う子供たちの中に、俺はいる。
人々が自分の育てた食べ物を食べ、自分の建てた家に住む
そんな世の中になれば、そこに俺はいる。

こう答えたトム。
ひとりの人間の言葉じゃないみたいだ。
<大衆>の言葉を喋ってるんだ。

「わたしには何のことやら」とかぶりをふって、息子を見送る母の姿も
愛情たっぷりで心に沁みる。

彼女もまた、万人の母なのだ。


アイ・アム・キューブリック

2012年07月04日 | 2000年代 欧州
アイ・アム・キューブリック(原題:COLOUR ME KUBRICK)

2005年 イギリス=フランス
監督:ブライアン・クック
出演:ジョン・マルコヴィッチ、ジム・デヴィッドソン、ジェームズ・ドレイファス、テレンス・リグビイ、マーク・アンバース

スタンリー・キューブリック監督になりすまし、映画の次回作への出演をほのめかしては、小銭を巻き上げたり、レストランやバーでの無銭飲食をした男の話。

イギリスで実際に本当にあったはずの事件なのだけど、映画の中では「実話のような嘘」としており、あくまでもグレーゾーンにしています。『アイズ・ワイド・シャット』『シャイニング』で助監督をしたブライアン・クックが今回のメガホンをとり、『時計じかけのオレンジ』『2001年宇宙の旅』でアシスタントだったアンソニー・フレウィンが脚本だというから、すべて承知のうえなんでしょうね。

ジョン・マルコヴィッチが、スタンリー・キューブリック監督もとい詐欺師のアラン・コンウェイを演じています。
映画のストーリーとしては、もとよりネタバレで、延々と詐欺師がスタンリー・キューブリック監督を演じて、アーティストの卵や有名になりたい人をだましていく訳だから、ちょっと飽きがきます。

そこにジョン・マルコヴィッチが、どんどんと毒を足していく。
どんどんと濃密によどんでいくコップ。
溢れてしまう、溢れてしまう、でもまだ溢れない・・・。
どこまでいくのかと、末恐ろしく観賞しました。