Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

あなたになら言える秘密のこと(映画)

2011年02月27日 | 2000年代 欧州
あなたになら言える秘密のこと(原題:The Secret Life of Words)

2005年 スペイン
監督:イザベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー/ティム・ロビンス/ハビエル・カマラ/エディ・マーサン

ハンナは工場で単純作業をこなす、物静かな女性。
彼女は急に上司に呼び出され、「勤務態度がまじめすぎる」ため、なかば強制的に
休暇を取る事をすすめられる。

どこか旅行にでも・・という上司の言葉のまま、
ハンナは休暇をとり、荷物をまとめた。
旅行先で、ハンナは海上の油田掘削所で事故がおき、怪我人がいると聞いて
自分は看護師だと名乗りでる。

海の孤島である油田掘削所には、うちつける波を数える学者がいる。
波の数ほどノックをされても動かなかった彼女の心の扉は
患者であるジョセフの世話をするうちに、少しずつ開きはじめる。

「死ぬまでにしたい10のこと」の監督:イサベル・コイシェ、主演:サラ・ポーリーの
再びタッグを組んだ本作は、死から生へと向かう再生の物語。

冒頭「南の島のプールでエアロビクスでもして・・」との上司のすすめに
「エアロビクスは義務ですか?」と無表情のまま、聞き返すハンナ。

何の変哲もないシーンだけど、深く閉ざされた彼女の心の内をみるようで
はっとした。
決まったものしか口にせず、耳が不自由な彼女のシンとした世界。
他人の気持ちなど入り込む余地がない。

ジョセフがもし火傷も負わず、目も見えていたら
彼女の心に近づくことなど、できなかったんじゃないだろうか。
弱いから、支え合えるのだ。

ジョセフとハンナがそれぞれ心の奥底に抱えた秘密のやりとりは、
決して甘いものではないけれど
恋は、すべてを超越していくことができる翼なのだ、と
信じたい。