Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ゲンスブールと女たち(映画)

2011年06月19日 | 2010年代 欧州
ゲンスブールと女たち(原題:GAINSBOURG,VIE HEROIQUE)
フランス=アメリカ 2010年
監督:ジョアン・スファール
出演:エリック・エルモスニーノ、ルーシー・ゴードン、レティシア・カスタ、
ダグ・ジョーンズ、アナ・ムグラリス 、ミレーヌ・ジャンパノイ、
サラ・フォレスティエ 他

数々の名曲を生み出し、名だたる美女たちと浮き名を流したセルジュ・
ゲンスブールの破天荒な人生を描いた作品。

ナチス支配下のフランスで、ユダヤ人の両親の元に生まれた彼は
煙草を吸いながら絵を描き、ヌードモデルを口説くようなマセた少年。
バーのピアノ弾きとして働きながら美術学校で絵を学んでいたが、
やがて音楽の道で生きていくことを決意し、セルジュ・ゲンスブールと
名乗るように。
バーで作った歌が認められると、ゲンスブールに曲を提供してもらいたい
という歌手は列をなし、ジュリエット・グレコ、ブリジット・バルドー、
ジェーン・バーキン等々、美女達とのロマンスに明け暮れた。

この映画で、ゲンスブール自身は多くを語らない。
その代わりに、心理描写として彼につきまとう分身が、実に雄弁。
子供の頃は醜いユダヤ人の顔を持ち、風船のように膨れたお化けが
相棒の様についてまわり、コンプレックスの具現化とも思われたのだけど
いつしか分身のパンパンに膨れた顔は破裂し、嫌われ者の教授として
生まれ変る。
この分身である教授がゲンスブールの背中を押し、そそのかし、
あの手この手で操って、ついには彼を呑み込んでいってしまう。

スキャンダラスな人生は分身のせいだ、なんて、もちろん言い訳だけど。

わたし達もそれぞれ、もう一人の自分(分身あるいは自我のかたまり)を
抱えていながら、知らず知らずのうちに呑みこまれたり、呑みこんだり
しているのかなあ。

「夢見るシャンソン人形」「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」といった
手がけた曲の素晴らしさや、女優・歌手たちとの華々しい遍歴とは対比的に
酒と煙草に溺れて行く男の姿が哀しく、切なさが胸を撫でる。

見どころはいっぱいあったけど、好きなのは
ピアノを弾きだしたら女性を口説かずにはいられないところ
さずがはフランスきっての伊達男だなあと、納得。


ワルキューレ

2011年06月19日 | 2000年代 米

ワルキューレ
2008年 アメリカ
監督:ブライアン・シンガー
出演:トム・クルーズ/ケネス・ブラナー/ビル・ナイ/トム・ウィルキンソン/カリス・ファン・ハウテン/
トーマス・クレッチマン


ドイツ人将校の一部で何度も練られたヒトラー暗殺作戦。
その刺客として選ばれたのは、戦線で片目と片腕を失ってたシュタウフェンベルク大佐でした。
トム・クルーズが真面目に熱演してます! 
最初はトムがドイツ人なんて違和感があるな、と思っていたのですが、まあ何とか。
(それよりも書くのはドイツ語で、話すのは英語という統一感のなさが気になる・・・)

「ワルキューレ」とは、もともと反乱軍鎮圧計画のこと。
大規模な反乱が起こった際に、すべての軍隊を含む政府機関が一括して予備軍の指揮下におかれ
組織の混乱をふせぐという対策のことでした。
ヒトラー暗殺後に「ワルキューレ」を発動し、それをクーデターに利用しよう、というのが今回の作戦。

この「ワルキューレ」計画を改ざんし、承認のサインをヒトラーに貰いにいくシーン。
ヒトラーがイメージ通りでした。き、緊張した~。 

全編をひた走る臨場感。
まるで自分もその場にいるかのように、ひや汗をかきっぱなしでした。

地球が静止する日

2011年06月16日 | 2000年代 米

2008年 アメリカ
監督 : スコット・デリクソン
キアヌ・リーブス/ジェニファー・コネリー/キャシー・ベイツ/
ジョン・クリーズ/ジェイデン・スミス 

キアヌ・リーブスが宇宙人役をやると映画と聞いて、
「以前から人間っぽくないと思ってたけど、宇宙人だったんだ、やっぱり!!」
と・・・・・期待して観ました。

でも、彼が演じたのは人間の姿をしていて、人間の心がわかる、宇宙人。
子どもを見つめるシーンなんて、とても瞳がやさしくてエイリアンにはとても思えなかった。
異文化にふれ、無表情の中に、ふと戸惑いがとまる、心揺れ動く演技がステキでした。

子役のジェイデンテ・スミスくん(ウィル・スミスの息子さん)も名演技。
いちいち生意気な言動が、逆に胸きゅん。

ジェニファー・コネリーのさりげない女らしさにもやられました。

ストーリーは単純で、大きな盛り上がりもアクションもなく、あまりにテーマがストレート。
俳優さんたちが良いので、ヒューマンドラマとしてはまずまずなのですが、
SFとしてはどうかなー。