Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

イン・ザ・プール

2015年05月12日 | 2000年代 邦

イン・ザ・プール

2005年 日本
監督・脚本:三木聡
製作:長松谷太郎、佐々木亜希子
製作総指揮:三木裕明、坂上直行
出演:松尾スズキ、オダギリジョー、市川実和子、田辺誠一、MAIKO、岩松了、ふせえり、きたろう

 奥田英朗著・精神科医伊良部シリーズの同名短編小説より、「イン・ザ・プール」「勃ちっ放し」
「いてもたっても」の映画化。
 
 営業マンの田口哲也は、勃起状態がずっと続く事に困り果てて泌尿器科を訪れたが、原因がわからず、
伊良部総合病院の神経科を紹介される。また、ルポライターの岩村涼美は、火の元や戸締まりが心配で
なかなか家を出ることができない。「強迫神経症」ではないのか、と自ら神経科を訪れる。のだが、
2人とも、テキトーなことばっかり言う伊良部医師に振りまわされっぱなし。手玉にとられっぱなしの
様子がなんとなく微笑ましい。

 一方でビジネスマンの大森和雄は、ストレス解消にと始めたスイミングに徐々に依存していく。仕事の
合間合間にも、流し台に水を貯めて腕を浸さないといけないほど。爽やかで優秀な男が知らず知らずの
うちに病魔に囚われていく様子と、傍若無人な伊良部医師も同じプールに通っていて、より変な人として
認識されているのも、おかしい。

 社会的ストレス起因の精神疾患をユーモラスに描く。こんなテーマなのに、嫌味なところがないのが
素晴らしいと思う。伊良部医師が強烈キャラなのにも関わらず、安心してみれるのは松尾スズキさんの
バランス感覚のなせる技! 抱腹絶倒というよりは脱力系のコメディ。
 まーまー今の世の中そんなこともあるよねーーと納得しちゃえるほどに、現代日本は恐ろしい。

さくらん

2011年09月12日 | 2000年代 邦

さくらん
2007年 日本
監督:蜷川実花
出演:土屋アンナ/椎名桔平/成宮寛貴/木村佳乃/菅野美穂/永瀬正敏

8歳で吉原に足を踏み入れ、やがて伝説の花魁となった「きよ葉」の生き様を描く。
やはし、ここまで撮れるのは女性監督ならでは? というか、蜷川さんならでは?? かな。
男女の嫉妬と確執渦巻く泥沼の極地、遊郭の世界なんだけど、じめじめしてない、のが、すごい。

そして、なんといっても色彩感覚は流石のひと言に尽きます。極彩色が映える、映える!! 
難しくもいたって美しい色のバランスはどうしたら取れるのか、謎。

原作は安野モヨコさん。
大好きで、モーニング掲載時にも読んでいたのだけど、
連載期間も話もとぎれとぎれだったので、ストーリー自体はあまりつかみきれてませんでした。

この映画では作品をたっぷり堪能できました。
「きよ葉」が確かにいる・・! ああ、やっと彼女に出会えた。
彼女のウラハラな行動も表情も切なくて、気持ちがぐっと伝わって凄く良かったです。

めがね

2011年07月27日 | 2000年代 邦
めがね

2007年 日本
監督:荻上直子
出演:小林聡美/光石研/もたいまさこ/市川実日子/加瀬亮

ジャージのゴムが抜けたような、ゆるゆる感。
ジャージの下のほうですよ。
けっこう困ります。

すっごいゆるくて、もう脱げそうな・・感じ・・
でも。これが、いい。
いいです。すっごく。

ゆるゆるな生活の中に、ちゃんと大切なものが隠されているのです。

海辺の小さな町へ休暇にやって来たタエコは、素朴でどこか不思議な民宿・ハマダに滞在することになり
そこでは、旅人は皆「たそがれ」に来るというのですが・・。

大切なことを時間をかけて思い起こしたり、大切な人のことをじっくり考えたり
他に何もせずに、たそがれるって、忙しい毎日の中ではなかなかできなかったりするけど
実はものすごく大事なことだったりする。

それをゆっくりゆっくり、かたつもりが描く曲線のようにゆっくり描いている作品。
ほっこりします(^^)v

フライ、ダディ、フライ

2010年10月28日 | 2000年代 邦
フライ、ダディ、フライ
2005年 日本
監督:成島出
出演;岡田准一/堤真一/須藤元気/星井七瀬

娘に暴力を振るわれた父親は、相手の高校生に復讐するため、包丁をもって高校に殴り込み
更にけんかの強い高校生に弟子入り!
中年オヤジがとことんがんばっちゃう熱血ストーリー!!

なのだけど

高校生役の岡田くんがカッコつけすぎ
サラリーマン堤真一が情けなさ過ぎ

なんなんだ、この映画は~
と、ちょっと背中がむず痒くなります。

でも、その高校生師匠と、サラリーマン弟子の関係が
ふいに逆転するときがあって・・・

強くなくては生きていかれないから、と言わんばかりに
カッコつけすぎてる岡田くんがまわりの高校生以上に
子供っぽくみえて

いろいろわかった上で娘の為にがんばっている堤真一が
普通のオジさん以上に大人っぽく見えたりして

2人の心が近づいていくのが、くすぐったくもあり
ほほえましくもあり、ジーンときます。

ザ・マジックアワー

2010年07月20日 | 2000年代 邦

ザ・マジックアワー
2008年 日本
監督:三谷幸喜
出演:佐藤浩市/妻夫木聡/深津絵里/綾瀬はるか/西田敏行/小日向文世/寺島進/戸田恵子/伊吹吾郎

伝説の殺し屋を連れてこれば命を助けてやるといわれた男は、売れない俳優に殺し屋を演じさせることを思いつく、
のですが、出てくる人出てくる人、なんて豪華でクセがあって・・・。
いたるところに楽しさが散りばめられてて、まさに三谷さんのエンターテイメントワールド。

伝説の殺し屋「デラとがし」を映画の中で演じると、信じている役を演じる佐藤浩市の力入りまくりの
演技にいつの間にか魅了されていきます。

いかにも作り物の街に作り物の演技、設定、ミルフィーユのように何重にも塗り重ねられてて
それがすべて崩れ落ちると思った瞬間、美味しいクリームのような大団円。

すべてはシナリオの計算通り。
「さすがは脚本家!!」と思わせる監督作品でした。
というか、↑この感想も折り込み済みですよねん