Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ヘイトフル・エイト

2016年03月12日 | 2010年代 米

ヘイトフル・エイト(原題:The Hateful Eight)

2015年 アメリカ
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:リチャード・N・グラッドスタイン、ステイシー・シェア、シャノン・マッキントッシュ
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン、ジョージア・カカンデス
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
音楽:エンニオ・モリコーネ
衣装:コートニー・ホフマン
美術:種田陽平


 賞金稼ぎのジョン・ルースは捕えた女悪党のデイジー・ドメルグを手錠でしばりつけ、
激しい雪の中、馬車をレッドロックへと向かわせていた。途中で、同じく賞金稼ぎの黒人
マーキス・ウォーレンと、レッドロックの新しい保安官だと言いはるクリス・マニックスが
大雪で困っていたのをやむなく馬車に同乗させた。

 ここでまず何度も舌戦が繰り返される。
 一度把握したはずの登場人物の立場はくるくると変わり、南北戦争や人種問題、リンカーンの
名前まで飛び出して、波乱含みの幕開け。

 そうこうするうちに雪はさらに激しくなってゆき、ひとまず中継地点にある店で休むことに。
猛吹雪でとても抑えきれないからと釘で打ち付けてあるドアを蹴り破って無理やり入り、また
釘を打ち付けるといった凝った作りで、はい、密室の出来上がり。

 店を陣取っていたのは、なじみの店主ではなく、留守番をしていると言うボブと先客の3人の男。
賞金稼ぎのジョン・ルースがひとまず場を支配し、先客の身上を聞き出していく。自分からペラペラ
と話すのはデイジーの絞首刑のためにレッドロックへ向かうと言う死刑執行人オズワルド・モブレー、
チェスを睨みつつ椅子から動こうとしない南北戦争時の将軍だったサンフォード、部屋の片隅には
故郷に戻る途中のカウボーイのジョー・ゲージという顔ぶれ。

 御者のO.Gがヘイトフルじゃないだけにぞんざいな扱いなのが可哀想だけど、時代は使用人と富を
つかう人の区別がはっきりとしていた頃。黒人も奴隷のように扱われるのが当然だったりするので
賞金稼ぎで身をたてているマーキスは虚勢はりまくってたり南北戦争の遺恨も深く残っていたりで
場は荒れる荒れる。誰が殺しても殺させれてもおかしくない。もうタランティーノの独壇場! となれば
わかりきってるけど、そうきますよね!!

 これまでのラストは、なし崩しになる印象が強かったけど、今回はしっかり伏線を回収してきれいに
終わったなあという印象。うん、悪党だらけの映画だし、これでいいのだ。