Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

Filmusic in 中川運河・夏

2015年12月23日 | 2010年代 邦
 
「Filmusic in 中川運河・夏」

2015年 日本
名古屋の中川運河を舞台にしたオムニバス映画4本。

(1)「ドラムマンz バチがもたらす予期せぬ出来事《名古屋版》」
監督・脚本・編集:田中要次
出演:ミスター小西、中村達也、スティーヴ エトウ、藤村忠寿
音楽:フラワーカンパニーズ
撮影:寺田緑郎、ウォン・オン・リン

『水曜どうでしょう』の藤村ディレクターによる「フラワーカ ンパニーズ」の
インタビューから映画がスタート。
あ、このインタビューが名古屋限定版らしい。
話題が、フラワーカンパニーズでいうところの「お母さん役」がグレートマエカワで、
ドラムのミスター小西の家族的立ち位置は「犬」だね、となったところで回想スタート。

ここのところ、ミスター小西の人生はうまく回っていない。
10年続けているアルバイト先にあっさり首を切られ、バンドの練習ではリズムに乗れきれず
ギターの竹安に飲み屋で「ヘタクソ」と怒鳴られ、同棲中の彼女と暮らすアパートに帰ると、
彼女は他の男を連れ込んでいて・・・
ミスター小西は自暴自棄になって夜中の道を走りまわる。

、、、って、なんで円頓寺を走っとんの?
うわー、ここ私の家から100mも離れてない。
ぎゃー、その角まがっちゃダメっ!!
  
はーー、毛穴がぶわっと開いた・・・!

で、辿り着いたのは中川運河の淵(んーむ、なんで彼処から彼処へいくんだ?)。
ヤケになってドラムのスティックを投げ捨てると、運河から金のスティックを
もった巨大な中村達也が出現し(こ、怖い・・・そんなにデカくなくても迫力十分なのに)、
さらに頭にスティックが刺さった巨大なスティーヴ エトウがでろりあん。いやあ、もうなんというか。

2人のドラム神はミスター小西そっちのけで揉め始め、運河の上での叩き合い対決が勃発!!!
小さな浮き舟に乗った中村達也とスティーヴ エトウがドラムをドラム缶を叩く!叩く!叩く!
これ、生で見たかったなあ~。音はスタジオで撮ったのかな。
そのまんまも聞いてみたかったけど。

こうして有無を言わせぬ神々の力に圧倒され、ミスター小西は黙って自分のスティックを拾いあげ、
「あーあ」って感じで帰っていって、続けよかーってなるのもフラカンの強さで、懲りなさで
なんか良かった。


(2)「アーリーサマー」
監督・撮影:中村祐太郎
脚本:木村暉、中村祐太郎
出演:GON、川瀬陽太、福本剛士、打越梨子
音楽:町あかり

裕介は、女性関係のトラブルから東京を追われるように出て、親戚の叔父さんがいる名古屋へと
やってきた。ガソリンスタンドを経営している叔父さんは、心ここにあらずといった様子の彼を
自分の住処に招き入れ、ガソリンスタンドでの作業を教えていく。

はじめのうちは、気力ないまま流されるままにフラフラしている裕介だったが、バイトをしている
同僚の芝居を見に行った時に、スイッチが、再び入る。

その芝居にでていた女の子に、急速に惹かれていくのだ。同じ劇団員になり、真面目に練習を重ね、
思いを寄せる彼女とも語り合う。
ストーカー気質の彼が狂おしく思いを重ねていくのが怖くもあり、切なかった。

他の短編が”中川運河”を「地元の」「みんなの」運河として描いているのに対して、本作は外からの
視線で捉えた運河の風景で、新鮮な感じがした。


(3)「せんそうはしらない」
監督・脚本:神保慶政
出演:大村明華織、クレシ明留、紀那きりこ、沼波大樹、 岩崎聡子、柏木風太朗
音楽:飯田泰幸、▲s(ピラミッドス)
撮影:仁宮裕


「お腹の(中にいる)前は、私って居なかったの?』「月はどうして光ってるの?』
好奇心いっぱいの6歳の少女には、尋ねたいことがいっぱい。

咲菜はラップに包んだご飯を持って、近くのモスクへ。
ムスリムの少年アミンと川沿いを歩く小さな旅にでる。
夏の日の太陽がさんさんと輝き、中川運河に反射する光の粒がふたりをそっと見守る。

咲菜の無邪気な質問に答えるアミンの声がとても優しくて、この映画がこのタイトルで
無ければいいのに、と思った。
ふたりがとても可愛くて、戦争とか宗教とか巻き込まないであげてほしい、と思った。
でもそれは現実的でなくて。

短いけれど、心に沁みてくる作品だった。

(4)「ケツにラジヲ」
監督・脚本・編集:山田 雅和
出演:伊藤成人、小池祥、長谷川千晶、宇佐美すみれ、山下七海、伊井遥香、岡本昌司
音楽:立仙易大
撮影:佐久間 篤司

中川運河コミュニティ FM局でリポーターを勤める銀次は、今日も町の人たちに無茶ブリ
しながら放送をすすめていた。勢いを増していく銀次の暴走ぶりに地元の商店街からは
総スカンをくらい、FM局はクレームの嵐を受けて銀次に謹慎処分を言い渡した。

FM局は新しく女子高生リポーターを迎えて放送を続けるが、その実、スポンサーが
つかず、継続が難しくなってきていた。それをしった銀次は、大好きなラジオ局を
守るため、地域の人たちに頭を下げて営業してまわることに。

そこで出てくる地元の会社の人たちは、実際の事務所だったり、勤めてる人なんだろう
なあという、紛れもない「名古屋」感。リアリティ。ところどころ棒読みというか、
演技してる風でもないし、一瞬、ドキュメンタリーだっけ、これ、という錯覚にも
陥ってしまう。こういうコミュニティFMがあって、こういう展開があっても不思議
じゃないなという、私が地元っ子だからだろうけど肌に馴染んでくる感覚があった。


この上映が終わったとたん、山田監督と主演の銀次さん役の伊藤さんがスクリーンの前に
出てきてのご挨拶があった。さらに女子高生レポーター役と魚屋のおかみさん役の女性が
観客として観にきていて、呼ばれて登壇。
監督挨拶回だと知っていたためか、旦那さんが何役で出演してた、とか、お姉さんが何役で、
とか出演者の知り合いの方々が観に来ていたみたいで、そんな会話がザワザワと。
そういう回だと全く知らず、最前ど真中で張り切ってみていたので、ドギマギしてしまった。