Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

黒猫・白猫

2016年11月14日 | 1990年代 欧州

黒猫・白猫(原題:Crna macka, beli macor)

1998年 フランス=ドイツ=ユーゴスラビア
監督:エミール・クストリッツァ
脚本:ゴルダン・ミヒッチ
製作:カール・バウムガルトナー
製作総指揮:マクサ・チャトヴィッチ
出演:バイラム・セヴェルジャン、スルジャン・トロヴイッチ、ブランカ・カティク、フロリアン・アジニ、
リュビシャ・アジョヴィッチ、サブリ・スレジマニ、ジャセール・デスタニ、アドナン・ベキール、ザビト・メメドッフスキ
撮影:ティエリー・アルボガスト
編集:スヴェトリク・ミカザイッチ
音楽:ネレ・カライリチ、ヴォイスラフ・アラリカ、デーシャン・スパラヴァロ
美術:ミレンコ・イェレミッチ
衣裳:ネボイシャ・リパノヴィッチ

 ユーゴスラビアのジプシーの人々を役者として大量起用した(プロ俳優はマトゥコ・ダダン・イダの3人だけ)、
ドタバタ喜劇。

 ドナウ河沿岸でその日暮しに興じるマトゥコとザーレ親子。岸辺には黒猫と白猫。アヒルやヤギたちも放し飼い
されている。博打好きの親父マトゥコは有り金を擦ってしまい、父と旧知の仲のゴッドファーザーに相談するも
軽くあしらわれ、貨物列車強盗を企てるも、行き当たりばったりで大失敗。

 やったこともない列車強盗になんで恐れもせず一人で忍びこむのか??? 目当ての列車が来ただけでニヤニヤ
しちゃって・・・与太郎まるだし、落語ですかコレ、あーもう、上手くいかないよなっていうのが最初っから目に
見えてるんだけど、本人は全くめげてない。

 息子のザーレも良いお年なんだろうけど、設定年齢いくつ?ってくらいに子供っぽい立ち振る舞い。出てくるたびに、
おとぼけな効果音がついてまわるのが、たまらないのだ。そんな彼も、お転婆娘のイダにからかわれて恋に落ちる。

 しかし地元ギャングの親玉ダダンに金の返済を迫られたマトゥコは金の代わりに、息子のザーレとダダンの妹・
アフロディタの結婚を勝手に承諾していた。アフロディタは「テントウムシ」と呼ばれる身の丈1メートルほどの娘で、
夢の中で会った運命の人とでなければ結婚したくないと拒否する。時を同じくして、運命の人を探すのは
ゴットファーザーの息子・・・とくれば、運命の糸がもつれあい、上へ下への大騒ぎ。

 はちゃめちゃなんだけど、何があろうと明るく乗り越えていく姿にたくましさを感じる。ここでいう明るさとは
闇がないことだ。犯罪も死さえも重く扱われることなく、笑いとばす。そんな中で、家族をことのほか大切にする
やくざ者たちが微笑ましく、誰も彼もの必死さにみんな応援したくなって困ってしまう。