ベンジャミン・バトン 数奇な人生
２００８年 アメリカ
監督：デヴィット・フィンチャー
出演：ブラッド・ピット／ケイト・ブランシェット／ティルダ・スウィントンジェイソン・フレミング／
タラジ・P・ヘンソン
80代の体で生まれ、徐々に若返っていくという数奇な運命を辿った男の人生を描く。
なぜかわたしは、このテーマが昔から好きで、今回のフィッツジェラルドしかり
山田太一の「飛ぶ夢をしばらく見ない」しかり、メルモちゃんしかり（生命を遡っていく感じが）
むちゃくちゃ影響うけてて、考えだすとしばらく空想の世界から帰って来られなくなっちゃうのです。
「子ども時代＝体は老人」の描写は素晴らしかったのですが、「晩年＝体は幼児」のシーンは
ほとんど無くて本編は終わったとばかりに、話が流されてしまったのが残念。
（わたしの妄想はここからが哀しさクライマックスなのに・・・）
個人的な思惑はさておき、ブラピ様ありき、なのでしょうがないのかな。
そのブラッド・ピットは若返っていくという数奇な運命を辿りながらも、淡々としかし着実に
自分の生き方を見つけていく寡黙な役柄。
観る人に想像の余地をあたえる演技で、とても良かったです。
デヴィット・フィンチャー監督の展開や演出もさすがで、ツボを外しません。
ある意味では、誰もがひとりで生きていかなくてはならないし
そして、誰もひとりでは生きられない。
老いるとともに若返っていく運命が教えてくれる、時の尊さ。
人と出会い、愛し合うことの奇跡。
究極の逆説的状況だからこそ、生きることがより煌めいてみえるのです。