Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

17歳

2015年04月09日 | 2010年代 欧州

17歳(Jeune & Jolie)

2013年 フランス
監督・脚本:フランソワ・オゾン
製作:エリック・アルトメイヤー 、 ニコラ・アルトマイエール
出演:マリーヌ・ヴァクト、ジェラルディン・ペラス、シャーロット・ランプリング
フレデリック・ピエロ、ファンタン・ラヴァ、ナタリー・リシャール、ヨハン・レイセン

 17歳の誕生日を迎えた夏、イザベルはリゾート地で知り合ったドイツ人の青年と
はじめての経験をする。行為の最中に、彼女の瞳に映っていたのは、もう一人の自分。
青年に心惹かれていたはずのイザベルだったが、次の日には彼に対し、何の感情も持て
なかった。

 彼女の頭をしめていたのは、別のこと。あの娘はだれ? 私はだれ?

 バカンスの終わった秋には、彼女は“レア”と名乗り、売春を重ねていた。ぶ厚い化粧を
して母親のクローゼットから失敬した地味なシャツを着て、20歳と偽り、不特定多数の
男たちと会う。



 イザベルを演じるマリーヌ・ヴァクトの華奢な腰に、折れそうに細い足が不安定さを強調
している。学校では大人しく息を潜め、母親といる時は不満げ、しかしベットの上では勝ち
誇ったような表情もみせる。一番リラックスしてみえるのは、歳の離れた弟といる時だろう。

 いやーもう、ドキドキするよね。彼女から目が離せない、というかカメラは流れるように
彼女の動きを執拗なまでに追っていく。そして、どの瞬間も彼女は美しい。ゾッとするくらい
綺麗な横顔に少女と女の境目をみる。

 新しい自分になりたい、早く大人になりたいから。自分の若さと美しさを見せつけたいから。
スリルのあるゲームみたいで楽しいから。いろんな人の性に興味があるから。大人たちが未だ
隠し続けている世界に何があるのか知らないと。私だってお金を稼げる。親の庇護なんて、
もう要らない。だけど見知らぬ大人たちには優しくされたい。同世代の子たちを密かに出し抜
いて優越感に浸りたい。私は特別な存在だから。愛されたいから、求められたいから。

 理由なんて何とでもつけられる。すべて彼女の中にあるモヤモヤ。心の奥底から湧き上がる
新しい感情や欲望の呼び方がわからないのだから、自分自身を把握することもままならない。

 ただ、そこにドアがあったから、あるいはドアがあるように思えたから、ノブを回して
開けてみただけ。そして季節が変われば、当たり前のように次の部屋へと移っていく。
それが彼女なりのフェイズ、なのだろう。

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