Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

インサイド・ルーウィン・デイヴィス-名もなき男の歌-

2014年06月16日 | 2010年代 米

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 (原題: INSIDE LLEWYN DAVIS)

2013年 アメリカ
監督・脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作:スコット・ルーディン、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作総指揮 :オリヴィエ・クールソン、ロバート・グラフ、ロン・ハルパーン
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、
ジャスティン・ティンバーレイク

映画館でチケットを買う際に、ポスターをぱっと見て「インサイド・ルーウィン・デヴィスを」と言った。
「デイヴィスです!」と売り子のお姉さんに短く正された。
けっこう長い映画タイトルなんだから、そんなキチンと修正しなくても、と少しムムッと思ったけれど
見終わって、納得。ルーウィン・デイヴィスは、ルーウィン・デイヴィスでなければ。


彼は何度もフルネームで名乗っている。
俺は俺なんだと。間違えてほしくないんだと。
彼の唄も、彼だけのものだ。
周りに合わせるような、ことはしない。

舞台は、1961年のニューヨーク。
フォークソングが世界的なブームになる前夜の、バーで一部の若者達が集まって聴いていた頃。
フォーク歌手のルーウィン・デイヴィスは、知り合いの家を点々と泊り歩く、その日暮らしを続けていた。
相棒のマイクは橋から身を投げ、今はひとりで唄う。
所属するレコード会社からは金をもらえず、女友達の中絶費用を工面し、
流されるまま、トラ猫を抱えこみ、シカゴへと相乗りの旅に出る。

何をやってもうまくいかない情けない男の姿に、ふいに深い喪失感をみる時がある。
彼の心には大きな穴がポッカリ空いているのだということがわかる。
翼を亡くした男は、地を這うように彷徨い、唄い続ける。
だからこそ売れないし、だからこそ心に沁みることもあるだろう。

赤い季節

2014年06月11日 | 2010年代 邦

「赤い季節」

2012年 日本
監督;能野哲彦
製作:鳥羽乾二郎 、 藤倉尚 、 門池三則
脚本:能野哲彦 、 久保田博紀
出演:新井浩文、村上淳、新居延遼明、永瀬正敏、田口トモロヲ、風吹ジュン、中村達也、チバユウスケ、イマイアキノブ、泉谷しげる


2010年の夏から楽曲を少しずつ作り始めていたチバユウスケのソロプロジェクト「SNAKE ON THE BEACH」。
所属事務所の代表である能野哲彦氏が楽曲に着想を得て、映像化!!
とくれば、チバの心象風景の物語か、とファンとしては邪推してしまうけれど
それは期待しすぎというものでした。

劇場公開はされてるものの、もろブイシネマの構成・クオリティ。
さすがに悪役の顔ぶれはそうそうたるものだし、ドンパチは下手に若手やジャニ俳優がやるより
凄みがあって良いです。だけど「入ってくんじゃねえ」オーラ半端ねえ。。。

こんなに怖い物語になっちゃったのは、ひとえに中村達也の存在感ゆえ、とゆーのは言い過ぎか。
出演シーンはごくナチュラルな感じで、良い味だしてました。

殺し屋稼業をやめたという青年が主人公なのですが、圧倒的に彼の方が力量があって
実は一番悪い人だな、と思わされるのも、おもしろいところ。
「赤い季節」が過ぎ去ったら「どす黒い季節」に移行していくのだろうなあ。