Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

Dr.パルナサスの鏡

2010年02月19日 | 2000年代 欧州
Dr.パルナサスの鏡(原題:The Imaginarium of Doctor Parnassus)
監督:テリー・ギリアム
出演:ヒース・レジャー、クリストファー・プラマー、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル、リリー・コール、アンドリュー・ガーフィールド、バーン・トロイヤー、トム・ウェイツ

ストーリー:人々の欲望を形にする魔法の鏡を出し物に一座を率いて旅するパルナサス博士は、かつて一人娘を16歳の誕生日に悪魔に差し出すことを条件に永遠の命を手に入れていた。娘の16歳の誕生日が3日後に迫る中、博士は新たに一座に加わった青年トニーとともに最後の賭けに出る・・・!

出演はパルナサス博士にクリストファー・プラマー、トニーに本作撮影途中で急死したヒース・レジャー。その代役として、鏡の中のトニー1にジョニー・デップ! 鏡の中2にジュード・ロウ!! 鏡の中3にコリン・ファレル!!!
豪華キャストです。
そして、トニー役であるヒース急死による代役の役者は皆、ヒースの友人であるというところが泣かせます。

[遺作]としては完璧、だと思います。
テリーギリアム監督の魔法にかかっているような、ヒースの死さえ、演出のひとつのような感じがしてしまう。
(ああ、ひどいです。自分でもひどいことを言ってるな、と思います)

でも・・・まるでテリーによってヒースがこの映画に閉じ込められているような印象がどうも抜けないのです。
まるで「死」と「生」の境をみているかのよう。
ヒースの死に対して感情を持っていかれ過ぎで、本来のストーリーをみていないのかもしれません。しかし、現実の「死」によって、幾千もの想像の扉が開けられ、作品への深みを与えていることは間違いない。だからこそ「死」によって完成した作品であると感じてしまいます。

もちろん、彼ら以外の役者もすごかった!!
トム・ウェイツ演じる悪魔のにくたらしいこと、ルネサンス期の絵画から抜け出してきたような妖艶なリリー・コール、素晴らしかったです。

現実世界よりも、夢の中で生きて行く方が幸せなんだろうか。
わたしは毎晩のように夢をみるほうなので、しょっちゅう思っている疑問です。
空の上へと登っていたときの自分、あれが本当の自分のような気がする・・というトニーの心情にも、ひどく心惹かれました。
この中でヒースは永遠に生き続け、死に続けるんだと思う。
あまりに特別な、この作品に出会えたことに、感謝したい。