Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

暴力脱獄

2016年04月14日 | 1960年代 米

暴力脱獄(原題:Cool Hand Luke)

1967年 アメリカ
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
脚本:ドン・ピアース、フランク・ピアソン
製作:ゴードン・キャロル
出演:ポール・ニューマン、ジョージ・ケネディ、J・D・キャノン、ディック・ダバロス、
ルー・アントニオ、ストローザー・マーティン
音楽:ラロ・シフリン
撮影:コンラッド・L・ホール
編集:サム・オースティーン

 「ハスラー」や「明日に向って撃て!」を観てポール・ニューマンの魅力を少しでもわかったような
気でいたのに、今作をみると、ああコレだったのか、と、おでこをゴツンとぶつけた気持ちになる。

 囚人が脱走と無謀な言動を繰り返す単純なストーリー。しかし、いつのまにか不敵な笑みを浮かべる
主人公ルークの虜になっている。無謀で乱暴で虚無的で・・・ゆで卵を1時間で50個食べられるか?
なんて、子どもでもしないような(絶対してほしくないけど)賭けをしたりするルーク。

 自分よりも腕力が強いであろう相手にも平気でつっかかっていって、倒されても倒されても、
むかっていく。そうして、いつのまにか刑務所の囚人たちの中で一目おかれる存在になっていく。
そんな中、ルークの母が病死し看視たちが警戒してルークを独房に縛り付けたことから、脱走を
繰り返すようになる。何度捕まっても、罰せられても、何があっても。逃げる逃げる逃げる。

 もどかしさが体中を駆け巡る。アウトローって、こういうことなんだろうなと思う。どこにも
引っかからない。誰にも理解されない。だけど彼の中に美学があるのはわかる。コレか、と思う。

愚か者の船

2012年05月22日 | 1960年代 米

愚か者の船(SHIP OF FOOLS)
1965年 アメリカ

監督/製作:スタンリー・クレイマー
出演:オスカー・ウェルナー、シモーヌ・シニョレ、リー・マーヴィン、ヴィヴィアン・リー 、ホセ・ファーラー 、ハインツ・リューマン、マイケル・ダン、 ホセ・グレコ


1933年、メキシコからドイツへ向けての航海をする客船を舞台とした群像劇。

乗船している客は、外交官の夫と離婚したばかりの中年女性や、球団を追い出された野球選手、
夜な夜な客を誘惑する踊り子、画家同士の恋人たち、ナチの信奉者とユダヤ人の妻をもつ男といった面々。
彼らが織りなす悲喜こもごもの出来事や会話に、乗客のひとりである小人のグロッケンは、
皮肉をこめて、ここは「愚か者の船」だと言う。

その命名も辛辣だなーと思うけど、台詞の数々は更にアイロニーに満ちていて
「ドイツに住んでいるユダヤ人は数百万人いる、まさか皆殺しにするとでも?」と笑い飛ばすように
言うユダヤ人や、「ユダヤ人なんて知らなかった」というアメリカ人に「黒人をいじめるのに
忙しかったんでしょ?」と突きつけたり。
なんとも手厳しい!  60年代にこんな事言うんだ!

そして、この作品はヴィヴィアン・リー最後の出演作としても知られています。
印象的なのは、「あなたはもう若くないのよ」と鏡の前の自分に向かって言いながら
グリグリとむちゃくちゃに化粧していくシーン。
ええっ、あのスカーレット・オハラ様が・・・。ショックでした!!
虚しさをつきつけられて、女という業の深さを思い知らされた気がします。