Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

デデという娼婦

2014年03月21日 | 1940年代 欧州

デデという娼婦(原題:Dedee d'Anvers)

1947年 フランス
監督:イヴ・アレグレ
製作:サッシャ・ゴルディーヌ
脚本:ジャック・シギュール 、 イヴ・アレグレ
出演:シモーヌ・シニョレ、ベルナール・ブリエ、マルセル・パリエロ、マルセル・ダリオ、ジャーヌ・マルカン

彼女は「夢を見てはいられない」と言う。
でも波止場を彷徨うデデは、どうみたって夢見る少女。
演じるは、当時は監督の妻であったシモーヌ・シニョレ。
はじめは娼婦とは思えない清潔感あふれる美しさに目を奪われるのだけど
決してきれい事だけでは生きていない彼女の内面が徐々に表れてくるのだ。

情夫に連れられるまま身を流し、場末の酒場で客をとる娼婦デデ。
貨物船の船長フランチェスコと恋に落ち、ふたりで街を出る約束をする。

とんとん拍子に話が進むかに見えるが
ラスト10分、冷たく冴え渡るデデの表情に釘付けになる。
彼女のセリフ通り、夢なんて見ていなかったんだと、思い知らされる。
夢見るフリをしてただけ。悲しい現実を少しだけ和らげようと、していただけ。

酒場の店主はよくデデを快く送り出してくれるもんだな、
と良い人っぷりに感服しきりだったけど
本当に街を出て行ける娘はそれだけ少ないのだろう。