Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ビリー・ザ・キッド/21才の生涯

2014年03月30日 | 1970年代 米

ビリー・ザ・キッド/21才の生涯(原題:Pat Garrett and Billy the Kid)

1973年 アメリカ
監督:サム・ペキンパー
製作:ゴードン・キャロル
脚本:ルディ・ワーリッツァー
音楽:ボブ・ディラン
編集:ロジャー・スポティスウッド、ガース・クレーヴン、ロバート・L・ウォルフ、リチャード・ハルシー、
デイヴィッド・バーラトスキー、トニー・デ・ザラガ
出演:クリス・クリストファーソン、ジェームズ・コバーン、ジェイソン・ロバーズ、ジャック・イーラム、
リチャード・ジャッケル、ケティ・フラド、ボブ・ディラン

1880年代のニューメキシコを舞台に、今も数多くの伝説が残る無法者ビリー・ザ・キッドと、
昔なじみの友人だが保安官となったパット・ギャレットの攻防劇を描く。

公開当時はさほど評判が良くなく、後に映画配給会社のカット版、研究家たちによる編集版が製作される。
最後の編集版をDVDにて観賞。
そのDVDの特典映像で編集者たちがこの映画への愛情たっぷりに話しまくっている通り、個々のシーンの
格好良さときたら天下一品!
それが組み合わされると、どうして、こう、切り貼りされた印象になってしまうのか?
ボブ・ディランの歌声も良いのだけども雄弁(説明的)すぎて、演技に関してはボーッとしすぎで
西部劇お得意のピリピリとした緊張感が薄れていく~。
当時37歳のクリス・クリストファーソンが、ふてぶてしい笑顔を振りまきながら21歳の切れ者を演じるのも
違和感が残るし、邦題は無頓着だわ、つっこみどころ満載で物議が醸し出されるのも頷けるのだけど、
全てをひっくるめても、好きな作品かなあ。極悪非道にはみえないビリーをつい応援しちゃう。

今は保安官となったパット・ギャレットの言動の端々にみえる悪人っぷり。
対するビリーの、頼れる男っぷり。愛のない/ある、それぞれのベッドシーンの対比もあって
心の中ではビリーが捕まらないよう願ってしまい、否応無く感傷的にさせられます。










デデという娼婦

2014年03月21日 | 1940年代 欧州

デデという娼婦(原題:Dedee d'Anvers)

1947年 フランス
監督:イヴ・アレグレ
製作:サッシャ・ゴルディーヌ
脚本:ジャック・シギュール 、 イヴ・アレグレ
出演:シモーヌ・シニョレ、ベルナール・ブリエ、マルセル・パリエロ、マルセル・ダリオ、ジャーヌ・マルカン

彼女は「夢を見てはいられない」と言う。
でも波止場を彷徨うデデは、どうみたって夢見る少女。
演じるは、当時は監督の妻であったシモーヌ・シニョレ。
はじめは娼婦とは思えない清潔感あふれる美しさに目を奪われるのだけど
決してきれい事だけでは生きていない彼女の内面が徐々に表れてくるのだ。

情夫に連れられるまま身を流し、場末の酒場で客をとる娼婦デデ。
貨物船の船長フランチェスコと恋に落ち、ふたりで街を出る約束をする。

とんとん拍子に話が進むかに見えるが
ラスト10分、冷たく冴え渡るデデの表情に釘付けになる。
彼女のセリフ通り、夢なんて見ていなかったんだと、思い知らされる。
夢見るフリをしてただけ。悲しい現実を少しだけ和らげようと、していただけ。

酒場の店主はよくデデを快く送り出してくれるもんだな、
と良い人っぷりに感服しきりだったけど
本当に街を出て行ける娘はそれだけ少ないのだろう。