ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

リトグラフ

2007年09月28日 | 芸術


先日来た学生時代の友人は、最近「リトグラフ」を始
めた。
最近といっても、もう二年ほどは続いていて、一応と
いうか、そうでもしないと続かないと思うが、教室に
通っているらしい。
周りには、美大を目指す高校生もいれば、所謂典型的
な、「ちょっとイメージの良い趣味をしたい」という
主婦などが多いそうだ。
彼の動機も、それらの主婦と似たようなものだ。
学生時代のクラブ活動は、同じ美術クラブだったが、
そういえば彼の作品らしい作品は見たことがなかった。
当時は、油絵などをせっせと描いていたのだが、全く
彼の作品は覚えてない。
その代わり、マージャンをやったのは覚えている。
頻度では、圧倒的にマージャンの勝ちだった。

そんなあまりに貧弱なクラブ活動体験であったが、そ
れでも「三つ子の魂」というほどのものではないが、
接してはいたので、再び描いてみようという気になっ
たのだろう。
油絵は、ちょっと大袈裟というか、下手に大きいと「無
駄に大きい」という印象を与えがちだし(実際多くはそ
うなのだが)、始末に困るところがあるので、印象も
実際の重さも軽い「リトグラフ」を選んだ。
日本語だと「石版画」といわれる「リトグラフ」だが、
要するに昔の印刷技術なので、木版のように木を削っ
た独特のタッチとかが出るものではなく、描いたもの
を忠実に再現するような仕上がりとなる。
で本当に良いのだろうか。
知ったように書いたが、実は「リトグラフ」というも
のを詳しく知っているわけではないので、ほぼそんな
ものだという程度の認識で話を進めたい。

それで教室では、基本中の基本のデッサンから始める
らしい。
そりゃあ、そうだ。
風景なり静物が描く対象なので、デッサンが出来なけ
れば上手くは描けない。
そんなことはしたことない彼は、自分の下手さ加減に
愕然としたらしい。
全く、やったことないから当然だが、建築士の資格も
あるのだからある程度はいけそうにも思うが、関係な
いのだろうか。
それでも、何度もやってるうちに上達してきて、ある
程度にはなったらしい。
それで、今度は、周りの主婦連中の下手さ加減に呆れ
ている。
「大して変わんないんじゃないの」という言葉は、ぐっ
と飲み込んだ。

いずれにしろ教室では、技術的なことを教えるので、
間違いなく最初より上手くはなる。
色の使い方とかそういうのも技術で教えるのだから、
「一見上手そう」という作品はできるようになる。
そういう「一見上手そう」な作品を求めるから教室に
来るのだから、それはそれで良いのかもしれない、で
はなく、良いのである。
芸術志向であったなら、そもそも教室になんか通うは
ずもないのだから。
それで彼は、山登りが趣味でもあるので、山の写真を
元にせっせと「リトグラフ」を作るのである。
そしてその作品は、周りの主婦連中には非常に評判が
良いということだ。
めでたしめでたし、であった。



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