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No1403『花筐 HANAGATAMI』~若さのエネルギーがはじける反戦映画~

この連休、京都出町柳に新しくできた映画館「出町座」に日参するつもりが、
いろいろやっているうちに、行きそびれてばかり。

連休最終日、やっと意を決して、起きることができ、
京阪電車に乗ったら、人身事故で30分以上遅れ、
目当ての映画に間に合わず。 

懐かしの出町柳に着いて、
和菓子屋ふたばの行列が比較的短かったから、豆餅を仕入れる。
こういう古くからある和菓子屋のおばさんたちって
どうしてこんなにてきぱきと気持ちよく働いておられるのかなあと
いつもステキに思う。 

出町座は、商店街の中。
予定を変えて、大林宜彦監督の『花筐』を観る。
予想どおり、なんというか、すごい映画だった。

檀一雄の原作の映画化で、障子を開くような始まり方が、
ラストにも効いていて、演劇のようで、いい。 

若さあふれる生と性のエネルギーがあふれ、
と同時に、死の気配にもおののく。

監督は自由奔放に映像の世界で遊んでいて、
繰り返されるのは、血の真紅のイメージ。
怒涛の映像に圧倒されながらも、
隊列を組んで歌いながら行進する、白塗りの顔の日本兵たちの
なんて不気味なこと。
若者を死なせるだけの戦争を憎む思いが強烈に伝わった。

恋人の墓で老人が流す涙は、
太平洋戦争で亡くなったすべての若者の魂を悼んでだ。

山中貞雄監督の名前が出てきて、嬉しかった。
この映画を観た人たちに、ぜひ観てほしい。 

主人公たちがピクニックに行く、
唐津の海の見える公園がいい。城跡だろうか。
唐津くんちという祭りにかける人々のエネルギーも伝わり、
町内ごとに異なるみこしの歴史について、子どもに語る老人がいい。
いつか行ってみたい。 

出町座は、近くに鴨川があって、最高のロケーション。
川辺に座って、川と対話しながら、映画で感じたことを反芻できる。
コンビニ100円珈琲を買えば、安上り。 

というわけで、今日の私の書斎は、鴨川。
空には、とんびがいっぱい飛んでいて、川には鴨。
自転車やランナーや散歩の人が砂地の上を通りすぎる音は心地よく、
こどもが楽しそうに歩き、恋人たちが語らう。
川にはやっぱり本が似合うと思いながら、
パソコン持ち込んだ私の無粋なこと。



連休が終わるとともに、天気が崩れる予感で、気温が下がってきており、
強くなる風に、森が騒いでいる。

ということで、私も、もう一度出町座を再訪しようと思う。



【帰宅して、追記】
対岸を親子が自転車で通り過ぎていく。水面にその姿が映って、
思わず、フランスの短編アニメーション映画の傑作『岸辺のふたり』を思い出しました。

このあと、出町座で、ストローブ・ユイレの映画を観に行ったのですが、
やっぱり眠くなってしまいました。
外国の監督のトークショーがあって、知的な会話に、頭が活性化された感じ。
渋谷先生の訳は、ほんとわかりやすくて、すてきでした。

帰りは、セカンドハウスに寄ってスパゲティを。
ワインを我慢して代わりにケーキ頼んだら、すっかり満腹になりました。
出町座、いいところなので、天気がよい週末は通いたいくらいです。

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