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小さな恋人たち~甥っ子たちと過ごした週末~

この週末、名古屋の弟夫婦が子どもたちと京都に遊びに来るというので、
1泊2日で、一緒に歴史の勉強の旅につきあってきた。
京都御所の見学に始まり、
二条城、金閣寺、銀閣寺などの寺社観光。

5歳の甥っ子から、今回初めて、
私の名前の「子」をとって呼び捨てで呼ばれ、
まるで恋人に呼ばれているような気になって、
どきどきしながら、手を差し出して、
ずっと手をつないで歩いた。

日曜の朝からは、あいにくの雨で、
昼前には土砂降り。
めげずに、八坂神社から知恩院にかけて歩いた。
二人の甥っ子がどちらも私の手をつなぎたがって、喧嘩になりかけ、
お兄ちゃんが譲ったり、
めずらしく私は人気者。
ずーっと子どもたちと一緒に笑っていた。
知恩院の長い階段を上るときも
一緒に数を数えながら駆け足で登り、
息が切れたのも楽しい雨の中の思い出。

知恩院の階段をかなり上った奥にお墓があり、
そこには、千姫のお墓のほか、「濡髪大明神」があった。
市川雷蔵さんの『濡髪三度笠』となにか関係あるのかしらと
思って行ってみると、縁結びの小さな社で、
一応、ちゃんとお願いしてきた。

八坂神社で、
甥っ子たちがおみくじをひきたがったので、
私も、一緒にひいてみた。
子どもたちから、違う種類のみくじをリクエストされ、恋みくじをひいたら
「幸運の鍵 掃除」
とあって、今一番の課題を当てられ、
思わず、笑うしかなかった。

せっかくの機会だからと
京料理の小さな割烹に、ランチなら手が届く値段だと出かけてみた。
カウンターに座ると
板前さんたちが、包丁で切ったり、丁寧に盛り合わせをしているのを間近で見れた。
神経を研ぎ澄まして、集中して、皿に、料理に向き合う姿は、
ピアニストがピアノを弾いている時の、鍵盤に向かう姿に
どこか似ていると思った。

牡蠣の白味噌のお椀をいただいたとき、
甥っ子が、メガネに牡蠣の香りをしみ込ませるのだと言って、
器の上に、メガネを置いて、しばらく食べるのを待っていたのには
あっけにとられた。
子どもなりに、おいしさに感激しているのだろう。

昼ごはんの後、時間がなく、銀閣寺に向かうのにタクシーに乗った。
車中で、地図をみて、5歳の甥っ子が、金閣寺、銀閣寺を見つけ、
「じゃあ、銅はどこなの?」と、あどけない声で言った時は、
運転手さんと弟夫婦たち一同、笑うしかなく、
子どもの発想は、本当にかわいらしい。

兄弟でおみくじを引いても、
二人とも同じ「末吉」が出ると
やたら、どっちの方がいいのか、聞いてきた。
同じ「末吉」でも、それぞれ意味が違うと説明したが、
より幸運なのは、どちらなのか、気になる様子。
やはり、小さな頃は、兄弟での比較が気になって仕方がないのだと
自分のことを思い出した。

別れ際、京都駅のおみやげやで、
5歳の子に、「僕、どうしても新幹線のおもちゃが欲しいの」と言われ
店内の場所に、手を引いて連れて行かれると、
「NO」ともいえず、なんでも好きなのを一つ、と選ばせると、
二人とも、小さなおもちゃの一角にうずくまって、
どれがいいのか、さんざん迷っていた。

5歳の子が、ブルートレインの深緑の車体と
水色と白の車体に赤のラインが入った列車と2つ手にとり、悩んだ挙句、
「どっちがかっこいいか、決められない!」と真剣に叫んだのは、
なんだか、普段の優柔不断な自分の姿を見ているような気がして、
こどもも同じなんだ、と仲間を見つけた気分。

弟が迷えば、兄も迷うで、
500円足らずの小さなキーホルダーのような人形選びに
どっちがかっこいいのか、
次々と2つずつ並べられては、聞かれた。
私から見たら、似たり寄ったりだが、子どもたちの顔は真剣そのもの。

弟の方には、水色のほうがきれいだよとアドバイスしたが、
結局、ブルートレインを選んでいた。
レジのところで、値札をはがされて、
もう決心を変えることはできないと観念したふう。
甥っ子の兄のほうが、レジで、弟のを見て、
「そんなのを選んだの!?」と言うので、
「そういうことを言うのが、いじわるなんだよ」と
つい偉そうに諭してしまった。
つまりは、単純に、この「選択」を後悔させたくなかっただけ。
それにしても、なんとも表情豊かで、こちらまで楽しくなる。

そういえば、宿での夜。
寝ていて、いきなり、顔を殴られた。
びっくりして目を開けると、甥っ子の頭がすぐそばにきていた。
起きて、彼を、体ごと自分の布団に運んで、また床に入ったが、
深夜、今度は逆さまになって、足がこちらに出てきた時は、
さすがに起きる元気もなく、ちゃんと布団をかぶっていることだけ確認して、
そのまま寝てしまった。
朝になってみると、ちゃんとまた元の向きになっていたので、
きっと1回転したにちがいない。

こどもの寝顔はかわいらしい。
そばで寝息が聞こえたときは、なんだかすごくうれしかった。

甥っ子たちに“ほの字の二日間”。
日曜のお昼も、ざあざあの雨降りの中、
傘さしながらも、ずーっといっしょにいられて、幸せ気分。
あと2年で上の子は、中学生になる。
どんどん離れていくことを思うと、
これも今だけなのかなと、人生の貴重なひとときに思え、ちょっぴり感慨深い。

おまけの話で、
兄の方が、今、室町時代に興味があるとのことで、
足利尊氏はじめ、歴代の足利家の将軍の木造が並んでいる等持院に出かけた。
危うく迷いかけたところ、立命館大学の学生に道を教えられ、なんとか閉館時間に間に合った。
その道中、入り口に銅像があり、
誰かと思いきや、なんとマキノ省三さんだった。
予期せぬ出会いに思わず、「あ!マキノさんの像がある」と大きな声で叫んでしまったら、
甥っ子たちも反応してくれ、思わず解説する私。
帰りにちゃんと写真撮っていこうねと頼むと
律儀な甥っ子たちは、ちゃんと帰り際、覚えていてくれて、何枚も写真を撮っていた。

そんなこんなで週末はあっという間。
ずっとつなぎ続けていた子どもたちの手のぬくもりが温かく残っている。

そういえば、土曜から今週金曜日まで、TOHOシネマズ梅田の
午前十時の映画祭で
『がんばれ!ベアーズ』が上映中。
この名作、私は未見なので、とっても楽しみ。

 

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