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No493『TOCHKA』~ひたすら闇が広がるばかり~

アイデアはおもしろいと思う。
北海道根室にある
コンクリートでうちっぱなしのトーチカ(直方体の小さな砲台)
墓場のようなそこにやってきた若い女と熟年の男。
それぞれに過去を抱えていて、
ほとんど会話もなく、風の音がずっと響いている。

おもしろいと思ったのは
女が、子どもの頃の家への帰り道について語る夢の話。
それから、男がこもるトーチカから子どもが出てきて、
車に乗って走り去る場面。
現実と幻想が混在する。
交錯させたまま終わったらいいのにと思った。
結末をつけなくても、むしろ生死の間、墓場のようなトーチカで、
夢も現実もごちゃごちゃになったまま
観客はトーチカの中に置き去りにされた気分で終わってもいい。
むしろ、そのほうがおもしろかったかもしれない。

火にしても、ライターの炎を一瞬見せるだけで十分。
煙も火も要らないような・・

10分ほど、画面に全く動きがないシーンがあった。
なぜかそのシーンは、目が冴えていたのだけれど、
観客への拷問に近い気がした。
真っ暗なトーチカの中で男が座っている、その悩みがどれだけ深いとしても
それをそのまま映像の長さにするというのは・・。

哲学のような映画。
もう少し映画としておもしろい仕掛けがあったらいいのにと願うのは
野暮というものだろうか?
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