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No492『PASSION』~真剣な男女のバトルに唸る~

10年以上の同棲相手カホと結婚を約束したばかりのトモヤ、
カホにずっと片思いの一途なケンイチロウ、
結婚してもうすぐ子どもも生まれる実直なタケシ、
3人の男とカホ、カホの友達のタカコ、
同窓生と思われる6人がレストランに集まり食事する。
最初の方のこの会話シーンで、
誰が誰を想い、誰がどう想っているのか、
視線や雰囲気で伝わってくる。
亀裂の予感・・

愛することって?
愛していてもほかの異性と恋に落ちることもある。
愛と恋とをめぐって、5人の男と女が真剣にぶつかりあう。

中学の教師カホのホームルームの風景が写され、
暴力について生徒に問いかけながら、自問自答のようにして
カホが熱弁をふるう。
黒板に叩きつけるように文字を書く勢いに圧倒され
真剣なまなざしと声音に圧倒される。
この学校のシーンの唐突な挿入もなんのその。

愛してない女とでも寝ることができるという
プレーボーイふうのトモヤが、
いつのまにか真剣に愛を語り、愛に向き合おうとしている。
その変わりぶり。

カホの結婚に冷静に反対を唱える母も真剣だし、
本音を言うゲームに参加したトモヤ、タケシ、タカコの会話は、
どんどん熱くなっていき、
とうとうトモヤとタケシのつかみあいになり、
タケシはクールなタカコをひっぱたく。

誰ともきちんとはつきあってないけれど、
漫然とケンイチロウとつきあっていて、
トモヤともつきあったことのあるタカコ。
実は、登場人物の中で一番、愛することと無縁で、無頓着。
そのひょうひょうとした、さばさばとしたところも
なんだか魅了的。

これが東京芸大の映像学部の学生新人監督の作品なんて、
一体この愛に関する膨大なセリフ、脚本はどこから生まれたのだろう。

歩道橋で夜半すれちがう男たち、
タカコのマンションになぜか次々と現れる男たち
予期せぬ展開がおもしろく、楽しくもあり、
どの登場人物も魅力的で
不思議な力に満ちている。
神戸映画資料館で明日までの上映ですが、
ぜひプラネットでも再映してほしいと思う。
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