映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No1286『マッドマックス 怒りのデス・ロード』~遠くを見つめる女たちの静謐な眼差しが心を射る~
これは女性の映画だよ、と誰かから聞いて、
アクション系の大作は普段観ないが、
シャーリーズ・セロンも登場しているし、
観に行ってみた。
金曜日のかなり遅いレイトショーにもかかわらず、
意外に、お客さんは入っていた。
冒頭から、すごいアクションの連続と、群衆の異様な光景にとまどう。
大きなトレーラーが砦から出てきて、
いきなり進路を変えていくあたりから、一気におもしろくなる。
とてつもないアクションの連続。
あまりの緊張感に、
つい、ひとりで、わぁわぁ、騒いでしまう。
映画自体が大音量で、隣も空いてるからこそ、できること。
こうして、映画について思い出していると、
心の中に残っているのは、“動”よりも、むしろ“静の世界”。
シャーリーズ・セロン演じるフュリオサが、
故郷の緑の地を目指して脱出した思い、
大地にひざまずき、慟哭する姿。
マックスと、最後に、目と目で交わす視線の交錯…。
ほとんどしゃべらないにもかかわらず、
いつも遠くを見ているような表情が、忘れられない。
主人公のマックス以上に、彼女の存在が、心をとらえて離さない。
運命に抗いながらも、
どこか諦観しているような寂しさ、無情を背負っている。
一緒に逃げる女たちもそう。
男たちの奴隷として、子を産むための道具扱いされる場所から逃げ出す。
二度と、あの場所には戻りたくないと叫ぶ。
タフで美しく、たくましいが、どこか哀しさが入り混じる。
植物の種を大切に持ち運ぶ中年女性ライダーのエピソードもいい。
荒唐無稽な設定に、あっけにとられながらも、
そういう女たちの遠くをみる目、
車の唸るエンジン音と対照的なまでに、静謐の世界に心奪われた。。
自ら死んでいくニュークスが最期に女と目が合った瞬間を
映画は刻印した。あとは実際にご自分の目で、確かめてほしい。
前評判どおりの快作でした。
追記
映画についてここに書くのは、なんと1か月ぶり。
筆が戸惑うのも、仕方ないほどのブランク。
シネ・ヌーヴォでの女優若尾文子さんの特集上映も、
まだ一度も足を運べていない。
最初に、行きそびれると、つい行くきっかけを失ってしまう。
友達が、それでも特集上映の終わりがけに、
一つでも、と観に来ておられたのをふと思い出汁、
その勇気と行動力は、やはり映画愛のなせる業だと思った。
ほしいのは、一歩踏み出す勇気と気合い。
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