goo

No368「沓掛時次郎・遊侠一匹」~私のホームグラウンド?~

このところ映画館に行っては、
睡魔に襲われワープしてしまうという不甲斐なさ。
スクリーンに引き込まれ、眠気なんて全く感じない作品もあるが、
無意識に、数十秒か数分の眠りに落ちてしまう作品の方が多い。

今日も九条ヌーヴォでの『プーサン』市川監督を観たが、
ユーモアある作品なのに、睡魔のほうが勝ってしまった。

場所を変え、新世界東映へ。
慣れとは恐ろしいもので、
この映画館に身を置くと、
なんだか懐かしいような、落ち着くような
不思議な気持ちになった。
ぱらぱらと陣取るおっちゃんたちと
中年夫婦も一組。
暑い中、映画でも、というのんびりした空気。

このけだるい感じが、映画が始まるや、一転。
おっちゃんたちも乗り出して
スクリーンに見入っている。

さすが加藤泰監督。
冒頭、橋を渡りながらの渥美清と中村錦之助のかけあい。
ロングショットの美しさとテンポのよさ。
すさんだ感じの錦之助がなんとも怖いし、
渥美清の口舌のよさは、気持ちよい。
一宿一飯の義理のために、命を投げ打たねばならぬ
やくぜ渡世の哀しさ。
義理をたて、一人、敵陣に踏み込み、
あえなく最期を遂げた渥美のことを錦之助が言う。
「こいつは、俺と違って算盤勘定のできない奴で・・」
涙がにじむ。

冬の宿屋の入り口でのれんが揺れている奥行きのある構図の美しさ。
錦之助が子供や女にみせる笑顔と
喧嘩に加担するときの荒んだ顔とのギャップの凄さ。

1年後の時の経過を伝える雪が降る場面から
真っ暗な部屋でこたつに入る錦之助の暗い顔への場面転換の美しさ。

やくざ者として生きる男の業の深さが
ただただ重く、悲しく、のしかかってきた。
池内淳子さんはもちろん、清川虹子さんもいい。
やくざ者として生きる男の業の深さが
ただただ重く、悲しく迫ってきた。
池内淳子さんはもちろん、清川虹子さんもいい。
書いているそばから、もう一度観たくなってきた。

ずっと昔に観た記憶はあり、
最近観たようで、観ていないような
記憶力まで悲惨な暑い夏でした。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ろうそく能「... No369「ホウ・... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。