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No488『わが町』~タアヤンに会いたくて~

かなり前に観て、辰巳柳太郎演じる、タアヤンこと他吉に会いたくて、
南田洋子特集上映を観にシネ・ヌーヴォに出かけた。
織田作之助原作、川島雄三監督。1956年。
たあやんは、昔と変わってなかった、って
変わるわけないのだが、人力車で
「人間、身体を責めて働かなアカン」が口癖で、
娘と孫娘を男手一つで育て上げるという
まるで『無法松の一生』の阪妻。

長屋の人間模様がいい。
たあやんとともに年を重ねていくのが
殿山泰司演じる、隣の部屋に住む落語家と
おたかばあさん。
おたかさん、どこかで聞いた声と思ったら、『大誘拐』の北林谷栄。
35年も前の作品でも、声は変わってないような・・
殿山泰司も、
子育てに厳しすぎるタアヤンを諭し、
こどもをかばったり、なだめる世話やきで、隣の部屋とのカットバックに
岡本喜八監督の『近頃なぜかチャールストン』を思い出した。
高座のチケットを長屋で配らなかった訳が最後にわかり、涙。

ラストはちょっとべたな感じもしたけれど、
大阪の科学館が出てきたり、大阪城も映る。
木下恵介の『破れ太鼓』に通じる、
新しい世代とぶつかる、
古い世代への郷愁にあふれている。
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